いかにして「私たち」という意識を創り出せるか?
一体性 生むのは人の本能だ!
女子高校生が使うウチらということばには、特別なつながりが感じられます。
彼女たちは、仲間かそうでない人に分けて、仲間を信頼し手助けを惜しまず、多少の過ちを寛容に受け入れる傾向があります。
アメリカの心理学者 ロバート・B・チャルディーニ(1945-)は、著書『影響力の武器』に、“人は自動的に休みなく、他の人たちを、私たちというカテゴリーに入れる人とそうでない人に分けています”と綴っています。この行動心理が一体性の原理です。

ウチらの意識が利益に変わる
一体性は、お客様と企業の間に強固な関係を築きます。
あのApple信者と呼ばれる熱心なファンは、単にiPhoneの機能に魅力を感じているだけではありません。
スティーヴ・ジョブズ(1955-2011)が率いた開発チームの背景にある物語や、Apple製品を使うことで得られる特別な体験に深く共鳴し、「私もAppleの革新的な活動に貢献している」かのような感覚を抱くのです。
お客様の心に「私たち」という意識が醸成されれば、そのブランドは単なる「選択肢の一つ」から「大切な仲間」へと昇華します。
そして、この仲間意識が持続的な購買行動へと繋がるのです。
“企業は、いかにしてお客様に「私たち」という意識を創り出せるか?” この問いへの探求こそが長期的な利益を築く鍵となるでしょう。


『一体性の原理』
仲間意識を持つ集団の期待に応えたくなる人間心理
参考文献
ロバート・B・チャルディーニ『影響力の武器 新版』(誠信書房)
佐藤尚之『ファンベース』(筑摩書房)