この商品 誰を狙ってどう売るか?〜STP分析〜

戦略を成功に導く鍵は、市場選びと競合との違いのアピール

STP分析と市場選定の重要性

STP分析は、自社の強みを最大限に活かし、競合他社から差別化を図り、お客様に特別な価値を提供し、収益を増加させる戦略の基盤です。

『STP分析』とは?

市場を細分化し、特定のターゲット市場を選定し、競合他社から差別化を図るための手法。

Segmentation(分割)=経営資源の最適化に向け広い市場を小さく分割

Targeting(選定)=収益を最大化するための市場を選定

Positioning(位置付ける)=競合と異なる独自性を強調し特別な価値を顧客の心に位置づけ

イラストは男性市場、女性市場、X世代市場、シニア市場というように、顧客の属性で市場を定義した考え方です。

戦略は市場の選択から始まります。「どの市場を選び、どのような戦略で成功につなげるか?」を考えることが戦略の要諦です。

市場の選定は、顧客属性だけでなく地域や消費者のニーズにも着目することが、限られた経営資源を最適に活用して収益を最大化させる手段となります。

最適な市場を見つけるためには、セグメンテーション(分割)が必要です。セグメンテーションは、広い市場から目標に合致する市場を見つけるために市場を小さなグループに細分化するプロセスです。

特定の市場に経営資源を集中することで経営効率が向上し、競争が軽減されます。分割されたグループはセグメントと呼ばれます。

次に、「どのセグメントをターゲットに絞り込むべきか?」を検討するターゲティング(選定)を行います。ターゲティングの目的は、経営資源を最も効果的に投資し、お客様のニーズに合致する市場を選ぶことです。

競合との違いをアピールする方法

商品が、その価値だけで評価され、市場で流通することは稀です。商品の価値は、市場のお客様がどう評価するかによって決まります。

競合との違いを強調し、商品を、お客様の心に競合とは異なる特別な存在として印象づけることがポジショニング(位置付け)です。

ポジショニングの目的は、お客様に競合との違いをアピールし、指名買いを促し、収益の増加につなげることです。

ポジショニングを構築するには、商品から得られるベネフィット(便益)と競合と異なる独自性の2つの要素を考慮します。

1.商品から得られるベネフィット(便益)=選ばれる理由

2.競合と異なる独自性=他を選ばない理由

成功させる要因は市場選定とポジショニング戦略の組み合わせにあり、これによって競争優位性を築き、収益と顧客満足度の向上が期待できます。

コラム  ユニクロの競争優位
 ユニクロは特定の年齢層や性別に焦点を当てるのではなく、広範な市場セグメントに向けてカジュアルウェアという製品を提供しています。“同一価格帯で世界最高の品質を誇る『究極の普段着』”という独自のポジショニングは、他のブランドとの差別化を図り競合他社に追随させない成功例です。「究極の普段着」というポジショニングは、消費者に快適で着やすく日常のさまざまなシーンで愛用できる服であることを示唆しています。

参考文献
 

フィリップ・コトラー、ケビン・ケラー『マーケティングマネジメント』(丸善出版部) 

鹿毛康司『「心」が分かるとモノが売れる』(日経BP)

柳井正『一勝九敗』(新潮社)