この商品 誰を狙ってどう売るか?〜STP分析〜

競合との違いをアピールし利益を得るための戦略の骨組み

市場選びの重要性

STP分析は、自社の資金、専門知識や技術を持つ人材、設備といった経営資源を効果的に配分し、競合との違いをアピールし利益を得るための戦略の骨組みです。

『STP分析』とは?

市場を細分化し、特定のターゲット市場を選定し、競合他社から差別化を図るための手法。

Segmentation(分割)=経営資源を活かすため市場を小さく分割

Targeting(選定)=収益を確保するために特定の市場を選定

Positioning(位置付ける)=競合との差異を顧客の心に位置づけ

イラストは男性市場、女性市場、X世代市場、シニア市場というように、顧客の属性で市場を定義した考え方です。

戦略は市場を選ぶことから始まります。たとえ経営資源が潤沢な大企業といえども市場全体を相手にするのは難しいことです。

経営資源を無駄にせず、利益を得るには、何らかの条件を元に、広い市場を小さなグループに細かく分けるセグメンテーションが必要です。

セグメンテーションは、30代女性というような顧客属性だけでなく、地域やお客様のニーズなどに着目することがポイントです。

何らかの意味づけを与えて細かく分けたグループをセグメントといいます。セグメントの中から、自社の製品やサービスに適した特定の市場(お客様)に絞り込むことをターゲティングといいます。

ターゲティングの目的は、自社が狙うお客様がいる市場に、資金や人材といった経営資源を効果的に配分して利益を確実に確保することです。

競合との違いをアピールする方法

製品の価値は、市場のお客様が製品をどう思うかで決まります。お客様の心に、自分の商品を他の会社とは異なる特別な存在として覚えていただくために、ポジショニングが必要です。機能性食品を例にしましょう。

美味しいのに、糖質控えめ

『美味しいのに糖質控えめ』というポジショニングをして、体重や血糖値を気にするお客様に我慢しない理想的な食生活を提案します。

お客様は「ほかのとは違って美味しいんだ」と感じ、リピート購入していただける可能性が上がります。

現代マーケティングの最高権威 フィリップ・コトラー(1931-)が提唱したSTP分析は、セグメンテーションで、どのお客様を狙うかを決め、ターゲティングで経営資源の配分を調整し、ポジショニングでお客様に届けるメッセージを打ち出します。

この3つのステップが市場での競争力を高め、成功する戦略の基盤を作ります。

コラム ユニクロはターゲットを絞ってないじゃない
 ユニクロには年代や性別を問わずさまざまなお客様が来店します。「あれ、ユニクロはターゲットを絞ってないじゃない」と思うでしょう。ユニクロは、同一価格帯で世界最高の品質を誇る『究極の普段着』に経営資源を集中しています。つまりカジュアルウェアという製品に絞って製造販売しています。

『究極の普段着』というポジショニングは、お客様に快適で着やすく日常のさまざまなシーンで愛用できる服であることを印象付けています。

参考文献
 

フィリップ・コトラー、ケビン・ケラー『マーケティングマネジメント』(丸善出版部) 

鹿毛康司『「心」が分かるとモノが売れる』(日経BP)

柳井正『一勝九敗』(新潮社)