成長の戦略パターンはこの4つ〜アンゾフの成長マトリクス〜

経営資源を効果的に配分し成長を遂げる方法

4段階の成長ステージ

経営者の多くは、事業を大きくしたいという夢を持っています。成長戦略の基本は、経営資源を適材適所に配分するパワーバランスにあります。

アンゾフの成長マトリクスは、市場と製品を軸足に、人材、資金、技術、ネットワークなど有形無形の経営資源を総動員し、事業拡大を目指すための4つの戦略です。

『成長マトリクス』とは?
 アメリカの経営学者 イゴール・H・アンゾフ(1918-2002)による市場と製品を軸に据え、市場での経営資源を効果的に配分し、成長を促進するための4つの戦略

アンゾフの成長マトリクスは、既存市場、新市場、既存製品、新製品の組み合わせによる4つのマトリクス(象限)で成長ステージを示しています。

1.市場浸透戦略=既存市場×既存製品
既存市場に経営資源を集中し既存製品のシェアを高め地固めをします。小リスクで確実なリターンが期待できます。スターバックスの「One More Coffee」は、特別価格で2杯目を販売し、1日の購入回数を増やす取組みです。
2.製品開発戦略=既存市場×新製品
ホームグランドである既存市場に、新製品やリニューアル品を投入します。比較的少ないリスクで中程度のリターンが期待できます。2021年、アサヒは28年ぶりにアサヒ生ビール マルエフを復活させ顧客を惹きつけました。
3.市場開拓戦略 新規市場×既存製品
未開拓の地域や顧客など新規市場に既存製品を販売します。中程度のリスクと高い投資が伴います。ワークマンは、作業服(既存製品)の機能を活かし、アウトドア・婦人服市場に進出し、新しい顧客層を開拓しました。
4.多角化戦略 新規市場×新製品
未開拓の市場(顧客)に従来と異なる新たな製品を導入し、高いリスクを冒し高リターンを狙います。DHCは、教育機関を顧客にした翻訳業から一転 美容通販市場へ進出し、多角化戦略を成功させました。

資源配分の重要性

事業を大きくするには資金が必要です。マーケティングの権威 フィリップ・コトラー(1931-)は、『マーケティングマネジメント』の中でこのように説いています。

既存の提供物を既存の顧客へ販売するという市場浸透戦略は、たいていの場合、最も実行しやすい売り上げ増進策である

まず既存市場で市場浸透戦略を展開して地固めをし、そこで得た利益を製品開発戦略、市場開拓戦略、多角化戦略の順張りに投資して事業拡大を図るのが理想です。

もし新規市場で戦略が期待通りに機能しなかった場合には、深追いせずに、既存市場に資源を再配置し、事業を継続し挽回を図ることができます。

アンゾフの成長マトリクスの要諦は、状況に応じて経営資源を、4つの市場間で集中・分散・融通しあいながら事業を拡大することにあります。

コラム  一杯のスープから顧客層を拡げる市場戦略
 スープストックトーキョーは、主要顧客層の女性一人客だけでなく家族連れに広げるために離乳食無料サービスを行っていいます。

同社では、「Soup for all!」の理念のもと、咀嚼配慮食で介護に取り組むなど、社会的責任を果たすために「既存商品×新市場」を軸に市場拡大に取り組んでいます。

参考文献
 

大前研一『企業参謀』(講談社)

今枝昌宏『実務で使える戦略の教科書』(日本経済新聞出版社)

フィリップ・コトラー、ケビン・ケラー「マーケティングマネジメント」(丸善出版部)