LTVは2つの視点で考える
LTV(顧客生涯価値)は、企業がお客様から得る利益の総額であると同時に、お客様が一生涯で受け取る価値の総量です。
一般的には、LTVは次の式で表されます。
- (購入単価 − 変動費)× 購入頻度 × 継続期間
この2つの視点は、表裏一体。お客様が価値を感じ続けなければ、企業は利益を得続けることができません。
企業視点とお客様視点のLTV
製品は、お客様がお金を支払って初めて価値を持ちます。対価に見合う、あるいはそれ以上の価値を感じてもらえなければ、次の購入は起こりません。
お客様にとってのLTVは、文字通りLife Time Value。支払ったお金と引き換えに得る生涯を通じた体験や満足の総量です。
| 視点 | LTVの意味 | 重視するポイント |
| 企業視点 | 1人の顧客が生涯でもたらす利益 | 購入頻度・単価・継続期間 |
| 顧客視点 | 生涯で提供される価値・体験 | 満足度・利便性・信頼 |
企業が顧客価値を無視して利益だけを追えば、押し売りや過剰な囲い込みになり、お客様は離れていきます。マーケティングの権威フィリップ・コトラーが「顧客を心と精神を持つ人間として理解すべきだ」と述べた理由は、ここにあります。

ユニクロに学ぶ“強いLTV”を生む4つの要素
ユニクロのLTVが強い理由は、一貫した人生に寄り添う価値提供です。創業者 柳井正氏の「買う立場で考えなければいけない。売る立場で見てもいいことないですよ」という言葉は、LTVの本質を一言で示しています。
ユニクロの強さは、次の4点に集約されます。
- 人生の伴走者
幼児期からシニア期まで人生に寄り添う製品展開 - 強い理念
「服を変え、常識を変え、世界を変える」という明確な志 - 細部へのこだわり
素材や縫製を毎年改善し、信頼を積み重ねる姿勢 - 生活の質の向上
ヒートテックに代表される、日常の不便を解決する技術革新


『ヒートテックをつくれるのは、ユニクロだけです。』このメッセージこそが、他社では代替できない価値であり、長期的な利益を築く理由です。
購入単価を上げる、購入頻度を増やす、解約率を下げるといった数値改善よりも重要なのは、 お客様が感じる価値そのものです。製品の価値が本物であり、お客様が満足している限り 継続的な購入は自然と生まれます。他社が提供できない価値を届け、 お客様が対価を支払いたいと感じる状態をつくること。 これこそがLTV向上の最も確かな道筋です。
西口一希『マーケティングを学んだけれど、どう使えばいいかわからない人へ』(日本実業出版社)

