そもそもLTVとは何なのか?
LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)とは、一回限りの取引で終わらせず、企業がお客さまに対し時間をかけて積み上げる信頼の総量です。
単にARPU (Average Revenue Per User:1人あたりの平均収益)× 継続期間という数式ではありません。
「今月の解約率を下げなくては」ではなく「お客様に喜んでいただくために、今日何ができるか?」を考えることが最終的な利益とブランド力に決定的な差を生みます。
企業の計算 ≠ お客様の満足度
数字は経営に絶対不可欠。でもお客様にとってのLTVとは、支払った対価という数字以上の価値の蓄積です。
- 売上ベース:LTV = 平均購入単価 × 購入頻度 × 継続期間
- 利益ベース:LTV =(平均購入単価 − 変動費)× 購入頻度 × 継続期間
結婚、出産、転職、退職など人生(Life Time)の節目で価値観(Values)は変わります。変化を無視して画一的な提案を続ければ、LTVは伸びません。
お客様は解約しにくいサブスクリプションやポイント還元ばかりの施策に「大切にされているな」と感じることは少ないでしょう。

マーケティングの権威 フィリップ・コトラーは、“顧客を消費の対象ではなく心と精神を持つ人間として理解すべきだ”と述べています。
今必要なのは、計算式としてのLTVではなく、お客様の人生に寄り添う“哲学としてのLTV”です。
ユニクロに学ぶ「人生の伴走者」としてのLTV
人間中心のLTVを体現しているのが、世界中で愛されているユニクロ。ユニクロの「LifeWear」は、人生を豊かにすることが目的です。強さは、4つに集約されます。
- 全人生への対応 幼児期からシニア期まで、人生の各段階に対応する商品
- 理念への共鳴 「服を変え、常識を変え、世界を変える世界を変える」という志
- 細部へのこだわり 素材や縫製を毎年改善し、安心感と信頼を積み重ねる
- 生活の質(QOL)の向上 ヒートテックなど、日常の不便を解決する技術革新


創業者 柳井正氏の「買う立場で考えなければいけない。売る立場でみてもいいことないですよ」という言葉は、LTVの本質を一言で示しています。
企業が数字の背後にいる人間を理解しようとする時、LTVは管理指標から、お客様と企業が共に価値をつくる“共創の物語” へと進化します。
西口一希『マーケティングを学んだけれど、どう使えばいいかわからない人へ』(日本実業出版社)

