揃えたい欲求が利益を生み出す源泉だ!
人はみな心にディドロを飼っている
人は理想的な価値を取り入れると、それに合わせた生活環境を求めて消費を繰り返します。これがディドロ効果です。
ディドロ効果』とは?
人が生活の中に理想的で新しい価値を取り入れると、それに合わせた生活環境を求め消費を繰り返す行動心理
『百科全書』を編纂したフランスの哲学者ドゥニ・ディドロ(1713-1784)は、高価で美しいガウンを手に入れると、そのガウンに見合う環境のために家具や調度品を買い漁り散財する憂き目に遭います。
この逸話がディドロ効果の由来です。魅力的な商品が溢れる今日、誰もがディドロになる可能性があります。
満足が 生み出すリピート 好循環
高度成長期、洗濯機や冷蔵庫などの電化製品は豊かさの象徴でした。お客様は洗濯機を手に入れて家事の時間を短縮できれば、次は食材を長く保存できる冷蔵庫が欲しくなります。
当時、家電の大手ナショナルは「みんなうちじゅうなんでもナショナル」と、東芝は「みんなみんな東芝 東芝のマーク」と同じ主旨の宣伝を展開していました。人の心に潜むディドロ効果を、見事に突いた戦略といえます。
お客様が製品の価値に満足すれば、その価値を基準にして新たな製品を購入する好循環が生まれます。このリピート効果が収益を生む源泉です。
参考文献
石井淳蔵『ブランド 価値の創造』(岩波書店)