お客様 心がわかれば 維持できる〜スイッチングコスト〜

お客様が 他社製品への乗り換えを ためらう状況を作り出す!

スイッチングコストのメカニズム

どんなに内閣支持率が低くても、本番の選挙では政権与党が信任を得ます。この人間心理の裏には変化を好まず新しいものにリスクを感じる本能があります。

製品やサービスにも同じ心理が働きます。人は便利な製品が登場しても、いま利用している製品から乗り換えることをためらいます。

なぜなら人は無意識のうちに乗り換えにかかるお金や手間を意識するからです。新しい製品に乗り換える時、負担に感じる金銭的コスト、物理的コスト、心理的コストを総称してスイッチングコストといいます。

『スイッチングコスト』とは?
 

現在利用している製品やサービスから、他の製品やサービスに乗り換える(スイッチする)のにかかるお金や手間

たとえばインターネットの接続プロバイダを変えるには、3つのハードルがあります。


そこで経営資源が潤沢な大企業は、一気呵成に新規顧客を獲得する大胆な戦略を仕掛けます。

SONYのインターネット接続サービス NURO光は、期間限定のキャッシュバックや他社解約金還元、工事費無料、設定サポート1回無料といった至れり尽せりの優遇特典で利用者を拡大しています。

確かに、これだけの特典を目の前にすれば消費者の気持ちは和らぎます。しかし、この戦略は新規顧客獲得の初期投資の赤字を、契約後の定期的なサービス利用で回収し長期的な収益を見込む大企業だから可能なビジネスモデルです。

もし資金や人材など経営資源に制約のある中小企業が、低価格や無料特典を謳った戦略を取れば、たちまち販売コストが利益を圧迫し、資金が溶けてしまいます。

競合からお客様を防御する

スイッチングコストは、お客様の心に無用な葛藤を招きます。企業の利益は、お客様に負担していただくコストで成り立っています。

お客様の心を理解し、支払うコストに見合う競合とは異なる価値を届ければ、他社の製品に惹かれて製品やサービスを切り替えようという気持ちは起きないはずです。

1.製品・サービスの品質向上

2.購入数・購入頻度を高める取組み

3.製品・サービスに関する情報発信の強化

これらの取り組みはマーケティングの基本です。品質が高ければ、顧客は競合他社の製品に切り替えることが少なくなり、購入数と購入頻度が高まります。定期的な情報発信は、お客様との関係を強固にします。

お客様を維持し持続的に利益を獲得するためには、お客様が競合の製品に心を奪われることなく、長く愛していただける製品やサービスを、しっかり届ける会社であり続けることです。