お客様は自分の選択が正しかったと思いたい
認知的不協和のメカニズム
人は「自分の選択は間違いだったかもしれない」と感じることがあります。
一方で、「いや、これは正しい選択だった!」と自分の判断を正当化しようとするのが人の心。この行動と現実との間に生じる矛盾が認知的不協和です。
「ホシは必ず現場に戻ってくる」は、刑事ドラマでおなじみのベテラン刑事の決め台詞。「警察に捕まらない」という安心感を得たいのが犯人の心です。
証拠を残してこなかったかを確かめるために、犯行現場に戻る行動心理をベテラン刑事は読んでいます。

認知的不協和を解決する方法
“フォードの広告を見る人の多くは、すでにフォード車を購入した人である” 認知的不協和を解明した心理学者レオン・フェスティンガー(1919-1989)のことばです。
「広告って買う前に見るものでしょ」と思いがち。ところが認知的不協和に陥ったお客様は、購入後に高い確率で再度ホームページを訪れて情報を再確認します。
商品から得られる便益やお客様の声を伝えることが大切です。
現代マーケティングの第一人者 フィリップ・コトラー(1931-)は、「最高の広告は満足した顧客によってもたらされる」と述べています。
認知的不協和を解消したお客様は「これいいですよ」と人に奨める広告塔になります。
購入後のお客様の心理状態を理解し、適切な情報を届けることは、離反防止と長期的な利益につながります。
『認知的不協和』とは?
自分の決断と行動に矛盾を抱えている不安定な心理状態
参考文献
リチャード・セイラー『実践 行動経済学』(日経BP社)