価格戦略の成功のカギはお客様の心が握っている!
真ん中のランクを選ぶ理由
ゴルディロックス効果(松竹梅の法則)とは、人が3つの選択肢の中から真ん中のランクを選ぶ行動心理です。
大抵の人は、超特上(松)、特上(竹)、上(梅)の、うな重の中から、真ん中の特上(竹)を選びます。

この選択をする心の裏には、失敗を避けるために安全な選択をするという本能があります。
超特上(松)には「値段に見合わなかったら損をするかもしれない」という心配が生じ、上(梅)には「安かろう悪かろうかもしれない」という不安があります。
また、自分の選択が他人にどう評価されるかという点も考慮されます。結果として、一般的に受け入れられる特上(竹)を選択をします。
このゴルディロックス効果は、まわりを気にして無難な選択をする日本人の気質そのものといえます。
お客様の価格に対する意識とは?
値決め(プライシング)は、中小企業経営者にとって、悩ましい問題の一つです。大手に低価格戦略を挑んでも勝ち目はありません。
お客様の価格に対する心理を理解することは、適正価格の設定に寄与します。
あなたが普段の買い物で感じる価格へのリスクは、当然あなたの会社のお客様の心の中にも生じます。

価格が高すぎると商品は売れないかもしれません。お客様は「この値段を支払うだけの価値があるのか?」と考えるからです。その価格が上限価格です。

安すぎても売れるとは限りません。お客様は「粗悪品を手に入れる可能性があるのでは?」と考えるからです。その価格が下限価格です。

上限価格と下限価格の中間に位置するのが、お客様が手ごろだと感じる最適価格です。
つまり、最適価格は、松竹梅の中の竹に相当します。お客様が選択をする割合は、松竹梅の順番で2対5対3といわれています。
ゴルディロックス効果は、人々が無意識に行う選択の一つであり、お客様が安心して商品を購入できる最適な価格設定の重要な要素となります。
東宝特撮映画の名作『ガス人間第一号』の主人公 水野は、月に2万円という報酬で生体実験に協力し身体をガス化できる特殊能力を得ます。映画公開時(1960年)の大卒初任給の平均は13,000円です。生体実験の報酬は高過ぎても安過ぎてもリスクを感じます。ちょうどいい報酬額が作品にリアルさを与えます。
ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか? 』(早川書房)