「真ん中を選んでおけば間違いない」というお客様の心理で利益を生み出す
真ん中のランクを選ぶ理由
ゴルディロックス効果(松竹梅の法則)とは、人が3つの選択肢の中から真ん中のランクを選ぶ行動心理です。
例えば、うな重が上(梅)1,200円と特上(竹)1,800円の2択なら、お客様は1,800円を高く感じて選択肢は特上が3割、上が7割に分かれます。
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ここに、超特上(松)2,400円という選択肢が加わると大抵のお客様は、特上1,800円(竹)を選びます。その理由は、人には両極端を避ける心理があり、お客様は「1,800円の特上は1,200円の上より豪華そう。でも2,400円の超特上と比べたら値段もお手頃」と考えるからです。その結果、選択の割合は松竹梅の順番で2対5対3になり、売上がアップします。
お客様の価格に対する意識とは?
大手に低価格戦略を挑んでも勝ち目はありません。それだけに値決めは、中小企業経営者にとって頭を悩ませる問題です。あなたが普段の買い物で感じる価格に抱く意識は、当然あなたの会社のお客様の心の中にも生じます。
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あまりにも価格が高すぎると商品は売れません。お客様は「この値段を支払うだけの価値があるのか?」と考えるからです。その価格が上限価格です。
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反対に安すぎても売れるとは限りません。お客様は「粗悪品を手に入れる可能性があるのでは?」と考えるからです。その価格が下限価格です。
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上限価格と下限価格の中間が、お客様が手頃だと感じる最適価格です。つまり、最適価格は松竹梅の中の竹に相当します。ゴルディロックス効果は、最適な価格設定の指針になります。
東宝特撮映画の名作『ガス人間第一号』の主人公 水野は、月に2万円という報酬で生体実験に協力し、身体をガス化できる特殊能力を得ます。生体実験の報酬は高過ぎても安過ぎてもリスクを感じます。映画が公開された1960年の大卒初任給の平均は13,000円、平均月収は40,000円です。ちょうどいい報酬額が作品にリアルさを与えます。
ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか? 』(早川書房)