お客様の心に根付く存在になるための企業戦略
ブランディングの本質
ブランディングとは、商品や企業名が消費者の心に深く刻み込まれ、自然に思い出され、選ばれる存在になるプロセスです。
ブランディングは、企業経営の中核に位置づけられる戦略です。ブランディングを企業戦略に統合すれば、自社の商品やサービスを、消費者の心に深く根付かせ、自然に選ばれる存在にする効果が期待できます。
このプロセスは、単なる名前やロゴではなく、信頼と歴史に根ざした価値を築くための、緻密で長期的な戦略となります。
消費者は知らないものには魅力を感じません。しかし誰もが知る一流のブランドは、一晩で生まれたものではありません。信頼と歴史の積み重ねによって成り立っています。

例えば、神戸牛や松坂牛は、年月と労力をかけて肥育され、他の地域では得られない特別な価値を提供し、ブランド和牛としての信頼を築き上げました。
ブランディングの戦略的位置付け
ブランドは、消費者との長期的な信頼を意味します。ブランドの信頼を維持し発展させるには、一貫性が不可欠です。
ロゴ、メッセージ、製品やサービスの品質、顧客サポートなど、あらゆる要素がオンラインとオフラインを問わず一貫性を保つことが必要です。この一貫性を維持することでブランドの強度が増し、消費者に信頼される存在になります。
ブランドは、信用と時間の積み重ねによって生み出される価値の結晶であり、ブランディングは、その価値を、お客様の心に深く刻み込み、選ばれる存在への道を切り開くプロセスです。
ブランディングの要諦は、お客様があなたの会社を思い出す瞬間を創り出し、その瞬間を常態化させることです。「〇〇といえばあの商品」という印象を持続させることがリピーターの獲得に繋がり持続的な成長を実現できます。
ブランディングは、規模や業種を問わず、長期的な成功への投資であり、市場で競争優位を築くために不可欠な要素です。
ブランドの語源は、自分の所有する牛を他人の牛と区別するための焼印 カーフ ブランディングです。
さて、昭和の名レスラー ディック・マードックの必殺技はカーフ ブランディングです。格闘センスに長けたマードックだからこそ仕掛けられる難易度の高い荒技です。時が流れても「マードックといえばカーフ ブランディング」とファンの記憶に残るブランディングのお手本です。
片平秀貴『パワー・ブランドの本質』(ダイヤモンド社)
石井淳蔵『ブランド 価値の創造』(岩波書店)