市場には5つの脅威が待ち受ける 〜ファイブフォース分析〜

のどスッキリ 利益ガッチリ 龍角散の成功戦略

業界の利益を奪う5つの力

ファイブフォース分析は、経営学者 マイケルポーター(1947-)が、編み出した業界がどれくらい利益を得やすいかを見極めるための手法です。

業界の利益を奪う5つの脅威を査定すれば、どんな環境に置かれているのかが、ハッキリと見えてきます。

5つの脅威とは、新規参入、競合、代替品、仕入先、買い手の脅威。脅威が少なければ少ないほど、その業界は利益を出しやすい=儲かりやすいといえます。

しかし儲かりにくい業界の中にも、しっかり利益を出している企業があります。その違いを生み出すのが戦略です。

業界は収益を奪い合うリング。プロレスラーのウナギ・サヤカ(1986-)が「査定してやるぜ!」と言うように、自社が戦うリングをしっかり査定することが、利益を出すための第一歩です。

龍角散の競わない戦略

一見すると儲かりそうな製薬業界。実は国の薬価引き下げなどの脅威に常にさらされています。

その中で、龍角散は、独自の戦略で利益を上げています。

龍角散の主力製品は、薬価規制の影響を受けにくい第三類医薬品。200年かけて築いたブランド力と、のどケアに特化した研究開発で、他の追随を許さない製品を生み出しています。

製薬業界全体の動きに左右されない独自の立ち位置で、のど飴市場では25%の高いシェアを誇ります。

次の一手は、セルフメディケーションの普及。便秘薬 毒掃丸の山崎帝国堂との提携は、そのための布石です。国民に、自分で体調管理をする習慣が根づけば、自社の利益が上がるだけでなく、逼迫する医療保険制度を、うまく回すことができます。

龍角散は、5つの脅威を、しっかり査定し、長期的に利益を生む戦略を築き上げています。

参考文献

マイケル・ポーター『競争の戦略』(ダイヤモンド社)