アンゾフの成長マトリクスとは?
アンゾフの成長マトリクスとは、企業が事業を成長させ長期的に利益を築いていくための4つの戦略です。
因果関係で示すとこういうことです。
- 成長の方向性を定める→ 資源とリスクを配分 → 競争優位を維持しながら規模を拡大

経営学者 イゴール・アンゾフは、事業を製品軸(既存と新規)と市場軸(既存と新規)の2軸で整理しました。


- 市場浸透戦略(既存製品 × 既存顧客)
既存のお客様を相手に既存の製品を売り込む - 製品開発戦略(新製品 × 既存顧客)
既存のお客様を相手に新しい製品を売り込む - 市場開拓戦略(既存製品 × 新規顧客)
既存の製品を新しいお客様に売り込む - 多角化戦略(新製品 × 新規顧客)
新しいお客様に新しい製品を売り込む
成功のカギはシナジー
シナジーとは組み合わせたら1+1=2以上になる効果。
アンゾフはシナジーを資源の相性として捉えていました。
- 同じ営業体制で売れる
- 同じ技術で新製品が作れる
- 同じ工場で生産できる
- 同じブランドで信頼される
企業の資金や人材には限りがあります。共用して活かせるものが多いほど、コストがかからず戦略は成功しやすくなります。
ヒットの裏に戦略あり
2020年から2022年にかけて注目を集めたブランドの裏側には、マトリクスが組み込まれていました。
2020年10月。ワークマンが始めたワークマン女子は市場開拓戦略。
- 製品シナジー:作業服で培った機能性
- 運営シナジー:品質維持と低コスト体制
- 販売シナジー:既存店舗網・物流
- 既存の強みを女性市場にそのまま転用
2021年9月。アサヒビールのマルエフの復活はハイブリッド戦略。
かつてのファンのシェアを奪回する市場浸透戦略。マルエフを知らない世代には製品開発戦略です。
- 製品シナジー:ドライのキレに対しマルエフのコクで相乗効果
- 運営シナジー:既存の生産ライン・物流網
- 販売シナジー:既存の販路・小売との関係
- 自社の資産を最大限活かす形で市場に再投入
2022年11月、オリックスと株式譲渡契約を締結し2023年1月、3000億円で買収されたDHCは翻訳事業から化粧品事業への多角化戦略。
- 製品シナジー:誠実という翻訳業のイメージを化粧品へ応用
- 運営シナジー:翻訳時代の低設備投資。直販モデル確立
- 販売シナジー:翻訳由来の説明言語化力
- 信頼できる化粧品というブランドを確立
異分野で成功したDHC。基盤となる「信頼」という無形資産を軸にした巨大ブランドのM&Aでした。

参考文献
今枝昌宏『実務で使える戦略の教科書』(日本経済新聞出版社)

