プレステはなぜゲーム市場を制したのか?
マイケル・ポーターのファイブフォース分析は、利益を出しやすい業界かどうかを5つの力で査定します。
| 5つの力 | 影響 |
| ① 業界内の競合 | 同業者との競争の激しさ |
| ② 新規参入の脅威 | 新しい企業の市場参入 |
| ③ 代替品の脅威 | 代替製品による顧客流出 |
| ④ 売り手の交渉力 | 原材料業者の声 |
| ⑤ 買い手の交渉力 | 顧客や流通業者の声 |
5つの力が強いほど、業界の収益性は低下。
企業は5つの力を避ける・利用する戦略で防御。競争優位を築き利益に繋げます。
さて、このファイブフォース分析に第6の力(シックスフォース)を加えた考え方をご存知でしょうか?
PlayStationの発売から30年、プレステがゲーム市場を制した理由も、実は第6の力にあります。
第6の力「補完者」の影響力
第6の力とは、業界で自社製品の価値を高めてくれる補完者の存在です。
- ゲーム機 × ゲームソフト
- スマートフォン × アプリ
- クレジットカード × 加盟店
補完者を味方につけることで、競争の脅威を機会へと転換できます
| シックスフォース⁉︎ | 5つの力+1 | その正体は? |
| ① 競合 | ハードメーカー | 任天堂 vs ソニー vs Microsoftなど |
| ② 新規参入 | 新しいハード・配信 | Steam Deck、クラウドゲーミングなど |
| ③ 代替品 | 他の娯楽コンテンツ | スマホアプリ、SNS、動画配信など |
| ④ 売り手 | 部品・チップ・流通業者 | 半導体メーカー、物流網 |
| ⑤ 買い手 | プレイヤー・小売店 | ゲームファン、販売チャネル |
| ⑥ 補完者 | ソフトメーカー | ナムコ、カプコンなど |
しかし特定の補完者に依存しすぎると、価格交渉力や主導権を握られ脅威となる可能性があります。
「プレステはなぜゲーム市場を制したのか?
プレステの成功要因は、高性能なハード本体の優位性のみならず補完者であるソフトメーカーをプラットフォームに結集できたかに尽きます。
| ハード | 性能 | ソフト=補完者 | 結果 |
| Sony PlayStation | 高性能・低価格 | 豊富なソフト | 大成功! |
| Nintendo N64 | 高性能コスト高 | カセット採用で開発コスト高、供給減 | 苦戦 |
| SEGA Saturn | 複雑な構造 | 開発難易度が高くソフト不足 | 失敗 |
Sonyは『全てのゲームは、ここに集まる』の謳い文句の通り、多くのソフトメーカーを結集。巨大ゲーム市場を築いて勝利しました。
競争戦略は敵を倒すだけでなく、味方をどれだけ増やせるかが勝敗を分ける時代です。
参考文献
B・ネイルバフ A・ブランデンバーガー『ゲーム理論で勝つ経営 競争と協調のコーペティション戦略』(日本経済新聞出版 )
