3分でわかる『依存効果』
経済学の巨人が預言した現代マーケティングを動かす原理原則
欲望は 一体何から 生まれるか?
あなたには「広告につられてモノを買ってしまった」という経験がないでしょうか?この時、あなたに生じた心理が依存効果です。
企業の働きかけにより消費者の欲望が喚起される現象
経済学の巨人といわれるジョン・ケネス・ガルブレイス(1908~ 2006)は、1958年に『ゆたかな社会』の中で依存効果を世に問いました。
消費者は自分で何が欲しいのかを意識することができず、広告やマーケティングによってはじめて自分の欲望がはっきりする
ジョン・ケネス・ガルブレイス
人は、欲望を満たす商品を手に入れ現状に満足すると、消費をしなくなります。そこで企業は、マーケティングを駆使して欲望を新たに作り出して消費を促すのです。
売るために 新たな欲望を 作り出す
企業みずからが何らかの問題を生み出さなければ、人々に新しい欲望を生み出すことができなくなった
フィリップ・コトラー
マーケティング界の最高権威 フィリップ・コトラー(1931-)は、ガルブレイスに呼応するかのように『マーケティングマネジメント』(1967年)の中で、こう説いています。
洗濯機は故障しなければ、なかなか買い替えません。そこでメーカーは、環境問題を切り口に「節水&節電効果に優れたエコ家電」として洗濯機を訴求します。
つまり「電気代や水道代が節約でき、エコになりますよ」というメッセージで、消費者に新たな欲望を気づかせることによって新たな市場を生み出すのです。

ガルブレイスは、今から65年前に、企業が消費者の欲望を刺激する高度消費社会の未来を示唆しました。
半村良の小説『不可触領域』は、メディアによる大衆コントロールをテーマに一地方都市のディストピア化を描いています。人は、本当に自分の行きたい所へ向かっているんだろうか?本当に自分の好きな服を着ているんだろうか?主人公の心は逡巡します。
ジョン・ケネス・ガルブレイス『ゆたかな社会 決定版』(岩波書店)
ジャン・ボードリヤール『消費社会の神話と構造 新装版 』(紀伊國屋書店)
見田宗介『現代社会の理論』(岩波書店)
見田宗介『現代社会はどこに向かうか』(岩波書店)
國分功一郎『暇と退屈の倫理学』(新潮社)
山口周『ビジネスの未来』(プレジデント社)