買った後 なぜか気になり ネット見る
〜認知的不協和〜

利益の鍵は購入後のフォローにあり!

「フォードの広告を見る人の多くは、すでにフォード車を買った人である」

心理学者 レオン・フェスティンガーのことばです。

すでに購入した人が広告を見るのは、購入という自分の選択を正当化し、心の中の「失敗したかな?」という認知的不協和を軽くするためです。

では、“購入後のお客様のフォローを重視すべき理由”をお話しします。

認知的不協和と購入後の心理

認知的不協和とは、商品を買った自分の行動と、「失敗したかな?」という心の中の考えの矛盾から生まれる心理的な不安や不快感です。

フェスティンガーが提唱した認知的不協和理論は、消費者の行動を理解するためにマーケティングの世界でも用いられるようになりました。

お客様は、カタログやホームページから良い情報や安心を得ることで、「自分の選択は正しかった」という確信を強めようとします。

認知的不協和の軽減策

お客様が購入後、認知的不協和を軽減するために、取る行動は主に2つあります。

  1. 選択自体をなかったことにしようとする(返品を考える)。
  2. 自分の選択を正当化する(再びカタログを見たり、否定的な口コミを無視する)。
    • 否定的な口コミも、「同じ人がいた」という安心感から不協和を解消する手段となる、という複雑な側面もあります。

では、お客様の認知的不協和の負担を軽くし、「買ってよかった!」という確信に変えるには、どのような情報を届ければよいでしょうか?

鍵となるのは、主に次の2つの情報です。

  1. 使い方や活用法の案内
    • 効果: 商品の価値を改めて実感させ、「いい買い物をしたなぁ」という満足感を強める。
  2. 他の購入者のレビューや体験談
    • 効果: 「多くの人が満足している」という事実が安心を生む。

購買がゴールではなく、購入後のフォローがリピーターを増やし長期的利益を築くスタートです。

認知的不協和を放置せず、軽減させる手立てを講ずることでお客様はリピート購入や、ポジティブな口コミによる紹介をしてくれる収益性の高い優良顧客へと変わります。

参考文献

恩蔵直人『マーケティングの力: 最重要概念・理論枠組み集 』(有斐閣)