新製品 すぐ買うあの人 待つあなた

3分でわかる『イノベーター理論』

新製品をはじめて手に取る心

消費者は 5つのタイプに 分けられる!

マーケティングを成功させるためには、人の行動特性を理解することが不可欠です。その指針となるのが消費者の行動特性を5タイプに分けた『イノベーター理論』です。

『イノベーター理論 』とは?
 人々の新製品購入の早い順に5タイプに分類した理論

1962年 社会学者  エベレット・M・ロジャース(1931-2004・アメリカ)

あなたは、スマートフォンや家電の新製品が出るとすぐに飛びつくでしょうか?しばらく様子をみるタイプでしょうか?

世の中では新製品が出るとすぐに飛びつく『すぐ買う派』と、まわりの評価を見てから買う『様子見派』に分かれて市場が作られます。ガラケーからスマートフォンへの移行時期が人によって異なるのも、新しいモノに対する人の意識が異なるからです。

『すぐ買う派』の16%が作る初期市場

イノベーター新しいモノに敏感で、新製品を追い求め誰よりも早く商品に飛びつく 2.5%の人々
アーリーアダプター新しいコトに敏感で製品の活用法を編み出し世の中に広める13.5%の人々

『すぐ買う派』が魅力を感じるものは「新しさ」です。しかも『様子見派』が恐れる新製品に発生しがちな不具合のリスクをものともしません。90年代にアップル最大の失敗製品といわれる『ニュートン』を購入したのは恐らく2.5%のイノベーター層でしょう。

『様子見派』の84%が作る一般市場

アーリーマジョリティ安心を求めつつも、新しい商品を持ち他人との差別化も図りたい34%の人々
レイトマジョリティみんなが購入した段階で「私だけ取り残されたくない」と購入する34%の人々
ラガード世の中の流行や新しい商品に関心を示さないので購入しないこともある16%の人々

『様子見派』は、新製品を購入して失敗したくないので結局いつもの定番製品に落ち着いてしまいます。

様子見派もブームに乗らずにいられない!

世の中のブームの発火点は、アーリーアダプターがもたらす情報です。ヒットの鍵は、2番手のアーリーアダプターが持つ「様子見派」の心を惹きつける強い発信力と吸引力です。

2018年から2019年にかけて大ブームとなったタピオカブームではSNSでタピオカティーのお店をリサーチし、“行列に並ぶ・飲む・映すこと”を発信するアーリーアダプターの愉しそうな姿に「様子見派」のアーリーマジョリティの心が刺激されます。

レイトマジョリティもスマートフォンに送られてきたタピオカティーの画像を見て「飲んでいないのは私だけ」と“取り残され感”を感じて行列に並びます。

このようにヒットの広がりは、新しいものにすぐ飛びつく「すぐ買う派」から周りの様子を伺いながら流行に乗る「様子見派」の人々へと波及します。 

『様子見派』のあなたは、好奇心旺盛で行動力のある『すぐ買う派』のアーリーアダプターの友人に刺激されてタピオカティーの行列に加わったのではないでしょうか?


コラム 彦馬と龍馬
幕末、上野彦馬が長崎に日本初の写真館「上野撮影局」を開業します。坂本龍馬ら「新し物好き」たちの人気を得る一方で「オランダの魔法で魂を抜き取られる」という迷信を信じてカメラを恐れる人々もいました。Instagramで、“映え”と“盛り”を競い合う今日では、嘘のような話しですね。

世の中には龍馬のように流行に真っ先に飛びつく人もいれば、躊躇する人もいます。1862年に彦馬が写真館を開業した当時と人の心理は変わらないのです。

参考文献
 

ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか? 』(早川書房)

藤田政博『バイアスとは何か』(筑摩書房)

松本健太郎『人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学』(毎日新聞出版)

ジェフリー・ムーア『キャズム Ver.2 増補改訂版』(翔泳社)

荒木博幸『世界「失敗」製品図鑑』(日経BP)

宇能鴻一郎『姫君を喰う話 』(新潮社)