3分でわかる『イノベーター理論』
ヒットを止めるな!様子見派の心を動かすには
すぐ買う派と様子見派の心理
新商品をヒットさせるヒミツを女子高生のワタシが教えてあげるね!
新商品が発売されるとウチらは2つのグループに分かれるの。
新商品を速攻でゲットするすぐ買う派(初期市場)が16%。そして、ほかの人の反応をじっと見守る様子見派(メインストリーム市場)が残りの84%よ。
この行動パターンを説明するのが、イノベーター理論なの。新商品の普及率を購入順に5つのタイプに分けた理論なんだって。ネットで調べちゃった。それって、なにもウチらだけじゃなくてフツーの消費者にもいえるんじゃない?
新製品の普及率を購入順に 5タイプで示した理論
すぐ買う派の16%=初期市場
1イノベーター | 新しいものは即購入する2.5%の人々 |
2アーリーアダプター | 新しいものを積極的に購入し気に入れば人に奨める13.5%の人々 |
様子見派の84%=メインストリーム市場
3アーリーマジョリティ | アーリーアダプターの推奨に影響を受けやすい34%の人々 |
4レイトマジョリティ | かなり商品が普及した段階で、やっと購入する34%の人々 |
5ラガード | 流行に乗らない頑な16%の個人主義者 |
新商品への反応は、すぐ買う派と様子見派では全然違うの。
すぐ買う派って、新しいものに興味津々。すぐ手に入れて、友達に教えたりするんだよ。
でも私みたいな様子見派は、新商品に慎重。だって失敗するのはイヤだし、第一不安じゃん。
だから新商品がすぐ買う派の16%まで普及すると、価値観の違いからキャズムと呼ばれる壁が現れるのね。そのキャズムを乗り越える戦略が必要なの。商売する人ってホント大変よね。
2番手を攻略し様子見派にリーチ!
私たち様子見派が大好きなのは“教えてもらって良かった!”と思えるような情報よ。“この新製品は安心ですよ”っていう情報に、つい心が動いちゃう。
情報に敏感な人っていうと、ついイノベーターに注目しちゃうでしょ。でもイノベーターの情報ってマニアックすぎて様子見派には伝わりにくいこともあるわ。
キャズムを突破して新商品を広めるのは、実は2番手のアーリーアダプター!
アーリーアダプターは、様子見派の気持ちを理解して情報をシェアしてくれるの。彼らには3つの特性があるのよ。
アーリーアダプターの3つの特性
1.新製品やトレンドに高い関心を持つ
2.情報収集能力と情報発信能力が高い
3.様子見派に大きな影響力を持つ存在
じゃあ、アーリーアダプターの心をつかんでヒットに導く方法を教えてあげるね。
ステップ1.ベネフィットと物語で心を掴む
アーリーアダプターを引き寄せるには、商品が提供する未来の価値と魅力的なストーリーを伝えるのが大事よ。購入することで得られる体験価値を伝えてみて。
ステップ2.強い情報発信力で市場に拡げる
アーリーアダプターは、家族や友達に口コミで広めたり、SNSやレビューサイトに投稿したりするの。彼らの影響力を利用して、商品をたくさんの人に知らせるのが成功への秘訣よ。
市場が1000人規模なら、アーリーアダプターの数は135人ね。計算あってるかな? その強力な推しが大きな影響を及ぼすことを忘れないで。
タピオカは こうしてみんなに 拡がった!
タピオカでは、アーリーアダプターがInstagramで、クチコミを広めたおかげで大ヒットしたわ。
2020年には約120社もの企業が市場に参入し、タピオカ店が街にたくさん出て、長蛇の列ができたのよ。
ワタシも「映え」にのせられちゃった。ママまで行列に並んだからびっくり!

メジャーリーグで投打に渡り活躍する大谷翔平。2023年のWBCでは最強の2番打者として日本の優勝に貢献しました。
大谷翔平は、打率向上という自分の目標に向け、際どいボールゾーンを狙うために積極的に情報収集を行い新しい技術を取り入れます。試合では、2番打者として後続打線に繋げる役割を果たします。
大谷翔平の成功は、まさにアーリーアダプターのような姿勢に起因しているといえるでしょう。
フィリップ・コトラー、ケビン・ケラー『マーケティングマネジメント』(丸善出版部)
ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか? 』(早川書房)
藤田政博『バイアスとは何か』(筑摩書房)
稲垣涼子『カワイイエコノミー』(日経BP)
ジェフリー・ムーア『キャズム Ver.2 増補改訂版』(翔泳社)
荒木博幸『世界「失敗」製品図鑑』(日経BP)