新製品 すぐ買うあの人 待つあなた

マケの門

3分でわかる『イノベーター理論』

すぐ買わず “様子見”の人が 多いわけ

消費者は 5つのタイプに 分けられる!

世の中では、新しい製品は徐々に広まります。その理由は人それぞれに価値観や欲求の温度差があるからです。

彦馬と龍馬
  1862年、上野彦馬(1838-1904)は、長崎に日本で初めての写真館「上野撮影局」を開業し人気を博します。幕末のイノベーター 坂本龍馬(1836-1867)を撮影した写真も残されています。その一方で「オランダの魔法で魂を抜き取られる」とカメラに恐れを抱く人々も多くいました。時を経て彦馬が亡くなった1904年にはフランスのオーギュスト(1862-1954)とルイ(1864-1948)のルミエール兄弟によりカラー写真技法が発明されます。日本では世界的カメラメーカーが誕生し多くの才能溢れる写真家が輩出されます。

昔も今も人の行動心理は変わりません。坂本龍馬のように真っ先に新しいものに飛びつく人もいれば、「カメラに魂を抜き取られる」と信じた昔の人のように新しいものにリスクを感じる人もいます。

上野彦馬が写真館を開業した100年後の1962年にアメリカの社会学者 エベレット・M・ロジャース(1931-2004)は消費者の行動特性を5タイプに分けた『イノベーター理論』を発表しました。

『イノベーター理論 』とは?
  1962年にアメリカの社会学者  エベレット・M・ロジャース(1931-2004)が発表した人々の新製品購入のスタンスを購入の早い順に5タイプに分類した理論。

5タイプの消費者は、新製品が出るとすぐに飛びつく“すぐ買う派”と、まわりの評価を見てから買う“様子見派”に分かれ、2つの市場が作られます。

“すぐ買う派”の16%人々が作る初期市場

1.イノベーターと呼ばれる2.5%の人々は新しいモノに敏感で、新製品を追い求めて、誰よりも早く商品に飛びつく 
2.アーリーアダプターと呼ばれる13.5%の人々は新しいコトに敏感なので製品の活用法を編み出し世の中に広める

“様子見派”の84%の人々が作る一般市場

3.アーリーマジョリティと呼ばれる34%の人々は安心を求めつつも、新しい商品を持ち他人との差別化も図りたい
4.レイトマジョリティと呼ばれる34%の人々は、みんなが購入した段階で「私だけ取り残されたくない」と購入する
5.ラガードと呼ばれる16%の人々は世の中の流行や新しい商品にあまり関心を示さないので購入しないこともある

様子見の あなたが「買うぞ」と 決める時!

“すぐ買う派”は「新しさ」に魅力を感じます。新しい商品やサービスは、好奇心旺盛なイノベーター、アーリーアダプターが突破口を開きます。

“すぐ買う派”は人柱⁉︎
ネットスラングに「人柱」(じんちゅう)という言葉があります。大多数の人は新しい製品やサービスは、評価が定まらないので購入や利用することに不安を抱きます。イノベーターやアーリーアダプターが、リスクを恐れず新しい製品をいち早く入手し、人々に情報を提供することが「人柱」の由来です。彼らが世の中に存在するからこそイノベーションが起こり経済が回ると言っても過言ではありません。

その一方で「安心」に魅力を感じる“様子見派”は、新製品を買って失敗するのを恐れて、いつもの定番製品に落ち着いてしまいます。

たとえばスマートフォンやゲーム機の最新機種には初期不良が出やすいものです。84%の人々は、回収や交換といった面倒なリスクを避けるために“様子見”という保守的な行動を取るのです。

まったく価値観の異なる16%の“すぐ買う派”の人々から84%の“様子見派”の人々へ、新しい製品を普及させることは、新製品のマーケティング戦略の成否を分ける重要なテーマの一つです。

とはいえ、“様子見派”が支持する定番製品も最初は新製品です。“様子見派”への新製品普及のカギを握るのが、アーリーアダプターとアーリーマジョリティの関係です。

“様子見派”の中でも、情報感度が高く、いちばん早い段階で新製品を購入するアーリーマジョリティは「出たばかりの新商品を買って失敗したくない」というリスクを恐れる一方で「少しでも早く新製品を買って人と差をつけたい」という気持ちに揺れ動いています。

そんなアーリーマジョリティに、購入の決断を促す存在がアーリーアダプターです。アーリーマジョリティは、アーリーアダプターの影響を受けやすく、彼らの発信する口コミに安心感を感じるからです。アーリーマジョリティの心を捉えれば、「みんなが良いというなら」とレイトマジョリティが追随し新製品が浸透します。

新製品の商品的価値もさることながらよりも「みんなが使っているから安心」という日本人特有の同調心理が新製品の普及に拍車をかけることは見逃せないポイントです。

“様子見派”の、あなたも“新しモノ好き”で”情報通“のアーリーアダプター・タイプの知人の評価に影響されて「よし買うぞ!」と購入を決めた経験があるのではないでしょうか?

参考文献
 

ジェフリー・ムーア『キャズム Ver.2 増補改訂版』(翔泳社)