インネパは どこに行っても バターチキン
事業は、競合と同じことをしては成功しません。
競合との違いがなければお客様は安い方を選びます。
競合が値下げすれば自社も下げざるを得なくなり、薄利多売の消耗戦に陥ります。
しかも違いがなければ「やっぱりここ!」と選ぶ理由、つまり競争優位がなく愛着が生まれません。
全国に4000軒あるといわれるネパール人経営のインド料理店、通称インネパは、まさにその典型です。
戦略は 他との違いを 作ること
競争の本質は、価値こそが勝ち!競争戦略の権威 マイケル・ポーターは、違いで価値を作り、長期的に利益を上げる勝ち筋を、3つの戦略で示しました。
これがポーターの競争戦略です。

- コストリーダーシップ戦略: 業界最低水準のコスト構造で違いを作る
- 差別化戦略: 他社がやらない独自の価値で違いを作る
- 集中戦略: 特定の顧客、地域などニッチに絞って違いを作る
違いを作って価値を生め!
インネパ店の多くは「バターチキンカレー&ナン食べ放題」という成功例を模倣。
その結果、どの店も似たり寄ったり。お客様の心は離れていきました。

これはポーターが指摘する戦略の不在そのもの。危機打開のため、一部のインネパ店主は再起を図ります。
復活のカギは、競争戦略です。
| 3つの競争戦略 | 何をやる | 何を届ける |
| コストリーダーシップ戦略 | 徹底的な効率化 | 低価格と安定品質 |
| 差別化戦略 | 独自の料理・空間・体験を創る | ダルバート、モモなど本格ネパール料理、 |
| 集中戦略 | 特定の客層に特化 | グルテンフリー・ビーガン対応 |
ただし、コストリーダーシップ戦略は、資本力を持つ企業でなければ実現が難しい戦略。
インネパ店が現実的に取れる選択肢は2つ!差別化戦略と集中戦略です。
他との違いが、大きな価値と利益につながるのです。
ナンやバターチキンはどの店でも出せます。その店でしか味わえない価値が真の競争力です。
「ナマステ ポーター先生!」異国の地で挑戦が始まっています。



参考文献
マイケル・ポーター『競争の戦略』(ダイヤモンド社)
室橋 裕和『カレー移民の謎』(集英社)

