3分でわかる『製品ポートフォリオ・マネジメント』
製品ポートフォリオ・マネジメントの成功法則
市場の成長率とシェアを見極めよう!
自社の収益性を向上させるためには、いまある経営資源を賢く活用することが大切です。
製品ポートフォリオマネージメントは、資源を製品や事業に、どれだけバランスよく割り当て収益性と成長性を拡大するための戦略です。
土壌を耕し、水と栄養をバランスよく与え、果実を実らせるように、市場で自社の商品や事業を発展させるためのガイドラインといえます。
製品ポートフォリオマネージメントは、市場の成長率とシェアを基準に、4つの段階に分かれます。では、ちょっとユニークな名称の4つの段階を一つ一つ紹介します。

1.問題児
あなたの会社には、なかなか収益に繋がらない問題児のような商品があるかもしれません。
市場成長率が高く市場シェアは低い状態ならば、シェア拡大に向け積極的に投資しましょう。投資効果で需要が高まれば問題児が大きく開花する可能性があります。
2.花形
市場成長率と市場シェアとも高く成熟に向かう段階です。成長を続けるためには積極的な資源の投下が必要です。新規顧客を獲得し既存顧客を維持し顧客基盤を固める時期です。
3.金のなる木
市場成長率は低いものの市場シェアが高い環境では、積極的な投資を行わなくて安定した収益を生みます。自然に商品が売れる状態です。
しかし、この安定がいつまで続くとは限りません。やがては成長が鈍化します。ここで得た利益を、市場成長率の高い問題児に再投資する検討をしましょう。
4.負け犬
市場成長率と市場シェアとも低い状態です。成長の見込みがない商品には資源を投入せず、他の有望な事業に経営資源を振り向けましょう。
これが成長戦略の理想形
マーケティングの父 ピーター・F・ドラッカー(1909-2005)のことばです。
マーケティングの理想は、販売を不要にすることである
自然に売れてしまう状態、つまり金のなる木を育てることがマーケティングの要諦といえましょう。
製品ポートフォリオ・マネジメントの理想的な戦略は、成長性が高い問題児に注力し、花形に育てることです。
種を蒔くように、収益を生むと思われる市場へ、経営資源を投入し、収益を実らせます。つまり製品ポートフォリオ・マネジメントは、自社の屋台骨となる金のなる木を育てるための指針です。
ソニーグループは、エレクトロニクス、エンターテイメント(ゲーム、映画、音楽)、半導体、金融など多岐にわたるポートフォリオを持っています。
2023年5月、ソニーフィナンシャルグループを分離・独立させ、主力のエンターテインメントと半導体に経営資源を集中させる方針を発表しました。社長COOの十時裕樹は、環境や競合の状況、消費者の傾向に応じて戦略を見直し、持続的な成長を目指すと述べています
フィリップ・コトラー、ケビン・ケラー『マーケティングマネジメント』(丸善出版部)