種蒔きと金のなる木の育て方〜製品ポートフォリオ・マネジメント〜

成長の鍵を握る経営資源の適切な配分

限りある経営資源を成長分野に投入

資金や人材など経営資源には限りがあります。企業が複数の製品やサービス、事業の中から、どの製品やサービスに、どれだけの経営資源を投入するか?その判断に役立つのが製品ポートフォリオ・マネジメントです。

『製品ポートフォリオ・マネージメント』とは?
 企業が自社の製品の成長と衰退を見極め、経営資源を適切に配分し収益を獲得するための製品市場戦略の支柱

問題児 実は未来の優等生!?

縦軸に市場成長率、横軸に市場シェアの2軸からなるマトリクスで、製品を問題児、花形、金のなる木、負け犬に分類しています。

問題児は、市場成長率が高く有望ですが、未成熟なので市場を開拓するコストがかかり利益が出にくい状態です。しかし未来の収益を背負う柱になるかもしれません。市場シェアを高めるための投資を増やせば花形に育つ可能性があります。

花形は、市場成長率と市場シェアが高いため激しい競争を強いられます。ここが踏ん張りどころです。シェアを広げるために経営資源を集中し金のなる木に育てます。

金のなる木は、市場成長率が低いので競争も少なく、市場シェアが高いために安定した利益が出る収益の柱です。鈍化傾向が常態化する前に果実を絞り取れるだけ絞り、この利益を成長の可能性が高い問題児に投資します。

負け犬は成長率もシェアも低く、利益も上がりません。撤退し有望な製品に資源を向けることが賢明かもしれません。

金のなる木が枯れる前に、成長の可能性を秘めた問題児に投資して花形に育成するサイクルが理想です。限られた経営資源を、将来有望な製品に積極的に投資して強力な販売基盤を築くことが製品市場戦略の要諦です。

参考文献
 

 大前研一『企業参謀』(講談社)

今枝昌宏『実務で使える戦略の教科書』(日本経済新聞出版社)

フィリップ・コトラー、ケビン・ケラー「マーケティングマネジメント」(丸善出版部)