売る前に 自社の持つ価値 見極める〜SWOT分析〜

自社の経営資源を活かせる市場を選び収益を上げる

戦略戦略策定の土台

SWOT分析は、経営資源を最適に活用するための戦略を策定する分析手法です。

『SWOT分析』とは?
経営資源の最適活用を図る経営戦略の策定方法

特に新製品の市場投入などの重要な局面で、市場と企業の経営資源の整合性を見極めることは不可欠です。

戦略策定の初期段階で、カナダの経営学者 ヘンリー・ミンツバーグ(1939-)によるSWOT分析を活用すれば、戦略の立案に必要な情報を収集することができます。


内部環境(経営資源の強みと弱み)と外部環境(市場の好機と脅威)の要素を整理することで、企業の強みや課題、市場の機会やリスクを可視化します。

SWOT分析の要素

内部環境

Strengths 強み
優れた製品やサービス、強いブランド力、効率的な作業プロセスなど競争力と収益の源泉となる要素です。企業内部の経営資源や能力の強みを明らかにし、自社がどのような利点を持っているかを示します。
Weaknesses 弱み
過重なコスト、人材不足、作業効率の低さなど組織内の課題を特定し、改善の必要性を示します。これに対処することで、効率性を向上させたり、問題を解決するための指針行動を設定できます。

外部環境

Opportunities 機会
消費トレンドの変化、技術の進歩、競合の弱体化など外部の市場状況や環境での成長機会を示し、自社がどの分野で成長できるかを指摘します。
Threats 脅威
競合の増加、規制の変更、経済的な不況など外部のリスク要因や競合の脅威を特定し、リスク管理および回避戦略を策定します。

SWOT分析の活用法

SWOT分析の目的は、“強みと機会”を組み合わせて“弱みと脅威”に対処する戦略を立てることです。

同時に、“強みと脅威”、“弱みと機会”を組み合わせて課題を克服して競争優位性を維持し、成長を達成する方法を検討します。

SWOT分析の活用法

強みと機会(SとO)
強み(S)を活かすことで、機会(O)を最大限に活用できます。組織やプロジェクトの強みを利用して、市場の成長や新たな市場セグメントに参入することができます。
弱みと脅威(WとT)
弱み(W)を認識し、脅威(T)に対処する戦略を立てることが重要です。内部の弱点を克服し、外部のリスクや競争から身を守ることができます。
強みと脅威、弱みと機会(S & T, W & O)
強みを活かして脅威に対抗し競争優位性を維持するための戦略を策定できます。同様に、弱みを克服し、機会に乗ることで内部課題を克服し成長を達成する方法を考えることができます。

SWOT分析の結果を元に改善計画を策定し、市場の変化や競合の動向を的確に把握し、目標から逸脱した場合は柔軟に修正を行い、持続的な成長と競争優位性の維持を追求していきます。

SWOT分析は、規模や業種を問わず企業の成長戦略において不可欠なツールとなります。

コラム  「指につくウマさ」
「指につくウマさ」は、スナック菓子 チートスの強みを一言で言い表わしています。

チートスは、スマートフォンの普及で菓子を食べながらの操作で指につく汚れが気になる消費者の存在が脅威となります。スナック菓子市場では、競合から手を汚さずに食べられる商品が次々に発売されます。しかし、チートスは逆にその特徴を活かしました。

指にべっとりつくパウダーは、消費者の感性に訴えかけ、チートスを食べることで得られる特別な体験を強調し、商品の魅力を高めています。

参考文献

大前研一『企業参謀』(講談社)

今枝昌宏『実務で使える戦略の教科書』(日本経済新聞出版社)

フィリップ・コトラー、ケビン・ケラー「マーケティングマネジメント」(丸善出版部)