市場を切り分け、絞り込み、商品をお客様の心に位置付ける
STP分析と市場選びの重要性
STP分析は、現代マーケティングの最高権威 フィリップ・コトラー(1931-)が提唱した自社の限られた経営資源を効果的に配分し、競合との違いをアピールし利益を得るための戦略の骨組みです。
市場を細分化し、特定のターゲット市場を選定し、競合他社から差別化を図るための手法。
Segmentation(分割)=経営資源を活かすため市場を小さく分割
Targeting(選定)=収益を確保するために特定の市場を選定
Positioning(位置付ける)=競合との差異を顧客の心に位置づけ
戦略は市場を選ぶことから始まります。たとえ経営資源が潤沢な大企業といえども市場全体を相手にするのは難しいことです。
経営資源を無駄にせず、利益を得るには、何らかの条件を元に、広い市場を小さなグループに細かく分けるセグメンテーションが必要です。
30代女性というような顧客属性だけでなく、地域や消費者のニーズなどに着目することがポイントです。
細かく分けた意味づけを持つグループをセグメントといいます。セグメントから、さらに自社の製品やサービスに適した特定の市場(お客様)に絞り込むことをターゲティングといいます。
ターゲティングの目的は、自社が狙うお客様がいる市場に、資金や人材といった経営資源を効果的に配分して利益を確実に確保することです。
競合との差異をアピールする方法
商品の価値は、市場のお客様が商品をどう思うかで決まります。お客様の心に、自分の商品を他の会社とは異なる特別な存在として覚えていただくために、ポジショニングが必要です。機能性食品を例にしましょう。
美味しいのに、糖質控えめ
『美味しいのに糖質控えめ』というポジショニングをして、体重や血糖値を気にするお客様に我慢しない理想的な食生活を提案します。
お客様は「他の会社の商品とは違って美味しいんだ」と感じ、リピート購入していただける可能性が上がります。
セグメンテーションで、どのセグメントを狙うかを決め、ターゲティングで経営資源の配分を調整し、ポジショニングによってお客様に対するメッセージを打ち出します。この3つのステップが市場での競争力を高め成功する戦略の基盤を作ります。
フィリップ・コトラー、ケビン・ケラー『マーケティングマネジメント』(丸善出版部)
鹿毛康司『「心」が分かるとモノが売れる』(日経BP)
柳井正『一勝九敗』(新潮社)