社会的価値と経済的価値は両立できるのか?
世の中が良くなるほどに利益も上がる
CSV経営は、社会の困りごとを解決する事業を行い同時に利益を生み出していく経営手法です。
「世の中が良くすれば会社も儲かるなんて本当?」と思われるかもしれません。
これは、仏教の自利利他の教え、“他人の幸福(利益)のためになることが自分の利益になる” という、とても理にかなった考え方なのです。


少子高齢化は、日本の未来に深刻な影響を与えます。
結婚支援サービスのIBJやオーネットは、結婚したい人たちを応援することで婚姻率の向上に、またJPホールディングスやライクは、子育て支援サービスを通じて「子育てしやすい社会」の実現に力を入れ 長期利益を築いています。
なるほど社会課題を解決することが、企業の成長に直結するのですね。

道徳と利益の両立が長期利益を生む
「お金儲け」と「道徳」は、反対のイメージ。
でも渋沢栄一(1840-1931)は今から約100年も前に『論語と算盤』で「道徳と商売は決して矛盾せず、むしろ両立させるべきだ」と説いたのです。
江戸時代に、悪辣な振舞いで富を貪り、すぐに没落してしまう豪商がいました。
現代でも、データ偽装のような問題が起きると、短期利益のために道に外れた行いをする危険性が浮き彫りになります。
渋沢栄一が関わった多くの企業が、今もなお成長を続けているのは、道徳に基づいて、社会の役に立つ事業を続けてきた結果です。

その証拠に、利益を象徴する一万円札には、渋沢栄一の顔が刻まれています。

『CSV経営』
競争戦略の権威 マイケル・ポーター(1946-)が唱えた社会課題を解決しながら長期的に利益を築く経営手法
参考文献
矢作敏行『コマースの興亡史』(日本経済新聞出版社)