製品を見た時のお客様の頭の中〜スキーマ〜

森永ミルクキャラメルを懐かしく感じる理由

人はみな自分の「枠」でものを見る!

スキーマとは、物事を理解するための思考の枠組みです。人はみな自身の思考の枠組みを通して判断します。

しかも同じ物事や同じ人物に接しても、これまでの知識や経験、興味によって、人それぞれ見えている世界は異なります。

日常でのコミュニケーションの行き違いは、一人ひとりのスキーマが異なるためです。

心理学者の今井むつみ(1958-)は、「人は、聞き逃し、都合よく解釈し、忘れる」とスキーマの本質を鋭く突きます。

歳を重ねてもなぜか気になるあの商品

人の脳のシステムが完成するのは3歳頃といわれます。大人になっても、“お菓子”や“おもちゃ”以上の存在として記憶に残るもの森永ミルクキャラメルリカちゃん人形です。

その理由は子供の頃の愉しい思い出が好意的なスキーマとして記憶に刻まれているからです。

時は19世紀、パリのボン・マルシェ百貨店では、親と一緒に訪れる子どもに絵葉書を配っていました。

この試みは、幼少期の思い出を記憶に結びつけ、子どもたちを将来のお客様にするためのスキーマを育む長期的な戦略といえるでしょう。

ノンアルコールビールは、発売当初はお客様の心にある「ビールの代用品」というスキーマのために売れませんでした。


そこでビール業界は、ノンアルコールビールを「健康的なライフスタイルにぴったりの新しい飲み物」と再定義しました。

時間をかけてお客様のスキーマを変えることで、800億円規模のノンアルコール市場を築くことに成功したのです。

 

『スキーマ』
 物事を理解するための思考の枠組み

参考文献
 今井むつみ『何回説明しても伝わらないはなぜ起こるのか?』(日経BP)