決め手は“好意” 好意の法則がもたらす収益向上
人の好意は感情から生まれる
好意の法則とは、好意を感じている人物の意見を受け入れやすいという心理です。
人には、好意を抱く相手の意見を受け入れる直感的な本能があります。だから人は、お気に入りのタレントのCMの商品に惹かれたり、近くに価格が安い店があっても好意を感じる店員のいる店に足を運びます。
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大手企業では、好意度を高め、ブランド価値を維持する戦略に取り組んでいます。中小企業には、大手と比べてお客様とのコミュニケーションが密接であるという強みがあります。お客様の好意を獲得することは、信頼関係を築き競争力を高める効果的な方法といえます。
人はたくさん接触したものが好きになる
繰り返し接触することで好意が高まり、記憶に残りやすくなる心理効果がザイオンス効果です。
お互いの顔を認識し、繰り返しコミュニケーションを交わす中で「あの人から買いたい」という好意の感情が形成されるからです。この心理効果を活用し、お客様の心に好意を育むことが、リピート購入につながります。
商品そのものは、どこで購入しても同じでも、お客様は好意に基づいて判断を下します。アメリカの社会心理学者 ロバート・B・チャルディーニ(1945-)が『影響力の武器』で紹介した好意の法則を理解し、お客様の心を自社に向けさせる戦略は収益を増加させる重要な手段の一つになります。
O・ヘンリーの小説『ミス・マーサのパン屋』の主人公マーサは、古くて安いパンしか買わない常連客 ブルムバーガーに、好意の印として、中にたっぷりバターを塗り込んだパンをサービスします。ところがブルムバーガーは、バターのせいで仕事を台無しにします。建築家の彼はパンを製図を描く時、消しゴムの代わりにしていたのです。
好意が、必ずしも顧客のニーズと一致しないことがあります。商売に限らず好意を示すのは難しいものです。
ロバート・B・チャルディー二『影響力の武器』(誠信書房)
リチャー・セイラー『実践 行動経済学』(早川書房)