種蒔きと金のなる木の育て方〜製品ポートフォリオ・マネジメント〜

大相撲に学ぶ利益を満たす「米びつ」の作り方

土俵には金が埋まっている!

製品ポートフォリオマネージメントは、人、モノ、お金といった限られた経営資源を、どの製品にどれだけ投資するかを決める重要な指針です。

大相撲の世界では、収益を「米びつ」に例えています。

投資判断がうまくいけば「米びつ」を満たすことができます。

収益を生むのは製品。製品の一覧をポートフォリオといいます。

製品ポートフォリオマネージメントは、製品の価値を2つの基準で査定します。

  1. 市場成長率:市場がどれだけ成長している?
  2. 自社製品の市場シェア:製品が市場でどれだけ売れている?

さらに2つの基準を軸に製品を4タイプに分けて管理します。

  • 問題児:市場は成長しているがシェアは低い。積極投資で将来の花形となる可能性あり
  • 花形:市場の成長率もシェアも高く、企業の「顔」というべき製品。他の製品にも波及効果を与える
  • 金のなる木:成長は鈍化しているがシェアが高い。安定した収益を生む頼れる存在
  • 負け犬:成長もシェアも低い。収益を生む可能性が低く、撤退を考えるべき段階

問題児 実は未来の横綱か!?

親方(経営者)は、力士(製品)を将来性(市場成長率)と強さ(市場占有率)で査定し、稽古量(投資)の配分を決めます。

第75代横綱 大の里は、入門からわずか2年で「金のなる木」に成長しました。

土俵(市場)にはチャンスが埋まっています。適切な投資判断で鉱脈を掘り当てることができます。

製品の誕生から衰退までのサイクルを見極め、資源の投入と撤退を適切に判断することで、製品の価値を最大限に高め、企業は安定して米びつを満たし、長期的に利益を維持できます。

参考文献

 今枝昌宏『実務で使える戦略の教科書』(日本経済新聞出版社)