正確なデータの公開がビジネスの成功を呼ぶ!
数字を正しく見る技術
少数の法則とは、バイアスの一つで、人が統計に基づいた根拠を無視し、小さいサンプルサイズから得られた結果であっても無意識のうちにそれが正しいと感じてしまう心理です。
つまり、少数の法則は、サンプルサイズが大きければ、小さい場合より正確であるがサンプルサイズが小さいと、極端な例が発生しやすくなるということです。
シンプルなルールであるだけに本質を見逃してしまうことがあります。少数の法則の発見者で、ノーベル経済学賞授賞者でもあるダニエル・カーネマン(1934-2024)は、著書『ファスト&スロー』の中で、「統計学を教える身であり、計算方法も知っている自分がこんな失敗をしでかすとは痛恨の極みである」と自戒しています。
数字を正しく伝える技術
人は小さなサンプルサイズから得た結果でも信じてしまいがちです。多くの人は、「90%の成功率で減量に成功!」という一行を見た時、自身も成功できると期待するでしょう。
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10,000人中9,000人も10人中9人も同じ90%です。10,000人中9,000人という結果は、サンプルサイズが大きいため信頼性が高いと言えます。一方、10人中9人ではサンプルサイズが小さいため、偶然の一致による可能性があります。
行動経済学の権威 ダニエル・カーネマンとエイモス・トヴェルスキー(1937-1996)が、つきとめたバイアス 少数の法則を理解し、正確なデータを戦略に取り入れることは収益を向上させるための重要な手段です。
サンプルサイズが小さければ、当然データは偏ります。にもかかわらず人は「○○県は、未婚男性が多い」という結果のみに注目します。
かつて、不正確なデータと県民性や職業、容姿などを結び付けて、これらの要因が、あたかも未婚率と因果関係があるかのように、視聴者に思い込ませるTVの情報バラエティ番組が見受けられました。
ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか? 』(早川書房)
ダレル・ハフ『統計でウソをつく法―数式を使わない統計学入門 』(講談社)
松本健太郎『人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学』(毎日新聞出版)