1を10 10を100にスケールアップ!〜イノベーション〜

イノベーションの誤解 0から1は作れない!

永遠にエネルギーを生む永久機関は人類の夢。

しかし、地球の法則において「0から1を生む」ことは絶対に不可能です。

では、どうすれば大きな利益と価値を創造できるのでしょうか?

その答えがイノベーションです。

チーかまに学ぶ!イノベーションが新市場を生むメカニズム


イノベーションとは、既存の要素を新しい方法で組み合わせることで、これまでにない価値を生み出し、社会を変革するプロセスです。

経済学者ヨーゼフ・シュンペーターは、このプロセスを新結合と呼びました。

チーかま(チーズかまぼこ)は、日本のかまぼこと、西洋のチーズという異なる2つの要素を組み合わせた画期的なアイデアです。

  1. 新しい風味を持つチーかまは爆発的ヒット
  2. チーズちくわ、カニカマなど派生商品が登場
  3. 550億円の風味かまぼこ市場誕生(2022年 食品マーケティング便覧)

イノベーションは、既存のものを再構築する「掛け算」であり、それによって新たな価値や利益を生み出す力を持っています。

ヒーローのライダー自身が新結合


国民的ヒーロー仮面ライダーは、半世紀以上前に、現在のIP(知的財産)ビジネスの価値創造を先取りしていました。

仮面ライダーの成功は、まさに「二重の新結合」によるものです。

  1. キャラクター設定の新結合:
    仮面ライダーの「改造人間」という設定は、普遍的な人間と動植物の能力という特異な要素を組み合わせたものです。この設定は、当時の特撮番組の常識を覆し、深みのある物語を生み出しました。
  2. メディア展開の新結合(1を100にする成功式):
    • 価値の源泉(1): 石ノ森章太郎の「物語のアイデア」。
    • 認知の拡大(10): 漫画とテレビドラマの同時展開(クロスメディア)。
    • 利益の爆発(100): 人気を背景にした子供向けテレビ雑誌『テレビマガジン』創刊、そして主役のアクシデントを逆手に取った2号ライダーの投入。さらに、キャラクタービジネスへの展開。

仮面ライダーは、物語という「1」のアイデアを、クロスメディア展開とIPビジネスにより「100」の巨大な利益と価値に引き上げました。

イノベーションは、既存のアイデアを掛け算的に組み合わせることで、予想以上の成功を生み出す力を持っています。

参考文献
 

名和 高司『シュンペーター』日経BP