1を10 10を100にスケールアップ!〜イノベーション〜

仮面ライダーに学ぶ1を100にする成功式

どうしても0から1は生まれない

エネルギーを無限に供給し続ける永久機関は人類の夢。しかし無から有、0から1を生むのは地球上の法則では不可能です。

経済学者ジョセフ・A・シュンペーター(1883〜1950)が説いたイノベーションは、既存の資源や技術を組み合わせる新結合から新たな価値を生み出し、社会に変革をもたらすという考え方です。

新結合から生まれた製品は、人々の行動や習慣、業界全体を変えます。

チーズ×かまぼこから生まれたチーかま。チーかまのヒットに触発され、競合からチーズちくわ、チーズ笹かま、カニカマが発売され風味かまぼこ市場という新市場が形成されました。

仮面ライダーはイノベーション

『仮面ライダー』はヒーローも怪人も、人間と動植物の“新結合“で生まれた改造人間。改造人間の苦悩を描くドラマは、特撮ヒーロー像を根底から覆します。

物語は石ノ森章太郎(1938〜1998)の漫画連載とTVドラマの同時展開で人気を博します。

業界初の子供向けTV雑誌『テレビマガジン』も誕生。さらに藤岡弘、(1946〜)の撮影事故で急遽登場した代役・佐々木剛(1947〜)演じる2号ライダーの登場がシリーズ化のきっかけを作りました。

物語の世界観を具現化した商品展開は、単なるキャラクタービジネスに留まらずIP(知的財産)としての価値を高め、新たな市場を創出しました。

物語の創造を1とすれば、メディア展開がその価値を10に、そしてキャラクタービジネスが100にまで引き上げます。

つまり仮面ライダーは、今日のIP(知的財産)という概念を先取りしていたのです。

 

『イノベーション』
既存の物同士の新結合で新しい価値を生み出し、社会的に大きな変化をもたらすこと

参考文献
 

名和 高司『シュンペーター』日経BP