CRMは「人の心」を記録する商い帖
「覚えていてくれる」ってうれしい
CRMとはCustomer Relationship Managementの略称。
日本語だと顧客関係管理。難しそうだけど本質はシンプル。
CRMの本質は、「記録」ではなく「記憶」。「データ」ではなく「人を想う気持ち」を形にすること。
あなたには、幼い頃のこんな記憶はないでしょうか?
「駄菓子屋のおばちゃん、私の好み覚えてたなあ」
昔ながらの商店の温かいやり取りは、一冊の「商い帖(帳面)」で成り立っていたのです。
「〇〇ちゃん、いつものお菓子あるよ」 「ご主人が入院されたらしい」 「最近、お孫さんが生まれたんだって」
お客様の家族構成や購買傾向、過去の会話などを細かく記録し、そのお客様に合った接客を行う。
「ご主人、その後お加減どうですか?」 「お孫さんに、このおもちゃどうです?」
だからこそ自然な気づかいができたのです。
その人らしさを、データで記録
デジタル&AI時代の現代。あの“駄菓子屋のおばちゃんの商い帖”の役割がCRMシステムです。
CRMが記録・活用する主な情報は、4つあります。
ポイント | 具体例 | 目的・意味 |
好きなもの・興味 | 麩菓子が好き、新製品に興味あり | 興味に合った情報 |
会話の履歴 | 誕生日、記念日、会話内容 | 関係性の深化 |
再購入のタイミング | 「前回から3週間」など | 絶妙なタイミングで離反防止 |
愛着の深さ | 累計購入金額、頻度 | ロイヤルティの理解 |
CRMシステムを活用すればこんなことができるんです。
- ギター好きのお客様には、弦の新作など趣味や購入履歴に基づいたセール情報。
- お誕生日には、特別なメッセージやサプライズギフト。
- 消耗品の買い忘れを防ぐため、ちょうどいいタイミングでお知らせ。
CRMは、お客様の離反防止、関連商品や高額商品へ誘導、愛着(ロイヤルティ)を高めて利益を築く大切なシステム。
お客様との信頼を育み、長く愛されるブランド、ひいては企業の長期的な利益へとつながっていくのです。
参考文献:フィリップ・コトラー、ケビン・ケラー『マーケティングマネジメント』(丸善出版部)