“お気に入り!” 手放せないあなたの 胸の内

マケの門

3分でわかる『保有効果』

人はみな 自分の物に 愛着がある!

手放せば “2度と手に入らぬ ” という後悔

世の中のマニアは、どんなに高値がついても愛着のあるコミックの初版本やレアなフィギュアを手放しません。あなたにも、手放したくない“お気に入りの物”があるのではないでしょうか?

人には自分が保有するものに価値を高く感じ、手放したがらない傾向にあります。この行動心理を『保有効果』といいます。

『保有効果』とは?

自分が所有しているものに高い価値を感じ、手放したくないと感じる心理

人は、物を持っている場合には、それを手離す苦痛が生じ、持っていない場合には、手に入れる喜びが生じます。ところが、人は新しい物を手にする喜びよりも、いま保有している愛着のある物を手放していく事への抵抗やデメリットの方が大きく働くのです。

しかも一度、自分の物にすると入手前よりも、心の中で価値は2倍以上に高まり、手放したくない気持ちが強まるのです。

この行動心理を解明したのが、アメリカの経済学者 リチャード・セイラー(1945-)とダニエル・カーネマン(1932-)、エイモス・トベルスキー(1999-1996)の3人です。

人は、日常でさまざまな不合理な行動心理を起こします。その中でも『保有効果』は行動経済学の3大権威が共同で取り組んだ研究だけに、マーケティング施策を行う上で、しっかり抑えておきたい要素の一つです。

“保有する” だから愛着と 価値が沸く!

さて、あなたには「行きつけのお気に入りの店」があるでしょう。人にお気に入りの店を訪ねたら、上位に上がるのがDEAN & DELUCAやスターバックスコーヒーです。

トートバッグとタンブラー

DEAN & DELUCAやスターバックスコーヒーでは、人々に『保有効果』を応用しリピートに繋げています。人々に対してブランドに愛着や価値を抱いてもらうための役割を担うのがトートバッグやタンブラー、マグカップです。自分の保有するトートバッグを持って買い物をしたり、店ではタンブラー、自宅ではマグカップでコーヒーを愉しむことでブランドへの愛着が醸成されます。これらのグッズを保有することで愛着が生まれ、いつもと違う店に行くことに心理的な抵抗を感じるのです。

多くの人は、商品やサービスを継続的に利用する事に対し価値を感じます。この心理を後押しするサービスやプロモーションを展開することが大切です。

寅さんが売りたくない絵
  『ほんとに自分の気に入った作品っていうのは売りたくないもんなのよ。かといって、気に入らない作品ってのはますます売りたくないでしょ』

『男はつらいよ 私の寅さん』のマドンナ 柳りつ子のセリフです。岸惠子演じるりつ子は画家として絵を売ることで生計を立てています。りつ子は生活が苦しくても自分が気に入っている作品は、お金に代え難いと思っています。寅次郎は、りつ子との恋に破れ旅に出で干支の絵を売ります。その店先にりつ子に描いて貰った自画像を飾ります。絵には、大きく『非売品』と書いた札が貼られています。

このように『保有効果』は、人の心に残り続けるのです。

参考文献
 ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか? 』(早川書房)

リチャード・セイラー『セイラー教授の行動経済学入門』(ダイヤモンド社)