権威性の法則と服従する心理とは?
権威の声に従う本能
多くの人は「あの評論家のいうことなら間違いない!」と、発言の内容を深く考えずに判断しがちです。
権威性の法則とは人が無意識の内に、著名人や専門家のことばに心を惹かれ、それに従ってしまう人間心理です。
『権威性の法則』とは?
世の中の有名人や成功者、専門家など権威の意見を信じやすいという人間心理
人には、情報が多過ぎて判断に迷う時に「権威の言うことは正しい」という経験則から直感的に判断する本能があります。この本能が、行動経済学の始祖 ダニエル・カーネマン(1934-2024)とエイモス・トヴェルスキー(1936-1996)が突き止めた経験則や先入観に基づき直感で素早く判断を下すヒューリスティックという直感思考です。
人は「誰が言ったか?」で態度が変わる!
「誰が言ったか?」の「誰」は、人の判断に大きな影響を及ぼします。人は発言者に注意を払うからです。たとえば投資家は、ごく当たり前の、誰でも言いそうな“株式投資の心得”の最後に記された人物名に、思わずひれ伏します。
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その名は、投資の神様 ウォーレン・バフェット(1930-)。世界の株式市場に影響力を持つ株式投資の最高権威です。
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事実、バフェットの鶴の一声に投資家は即座に反応し、株価は高騰します。この力が、その道のプロのことばの持つ威力です。
コラム 権威への服従の盲点
戦後の未解決事件、帝銀事件と3億円事件には共通項があります。1948年の帝銀事件では、東京都防疫消毒班の腕章を身につけた人物に、20年後の1968年の3億円事件では、白バイに乗った警官に従いました。
2つの事件に共通するのは、肩書きや制服に対する権威への服従心です。この服従心が、犯罪に悪用されることもあるのです。
参考文献
ダニエル・カーネマン『NOISE 』(早川書房)
ロバート・B・チャルディー二『影響力の武器』(誠信書房)
松本清張『小説帝銀事件』(角川書店)