世の中は 人の恐怖で 動いてる!

フィアアピール

3分でわかる『フィアアピール』

目の前の 不安は解消 したいもの

人には目の前の恐怖から逃れたい本能があります。フィアアピールとは、この本能を利用して、最初に恐怖をアピールし次に解決方法を示し購買を促す販促手法です。

『フィアアピール』とは?
最初に恐怖を謳い、次のステップでその恐怖を払拭する選択肢を提示して行動を促す販促手法

AIに仕事を奪われる』、『紫外線を浴びると肌の潤いを失う』など世の中は、“人の恐怖で動いている”といっても過言ではありません。

人は、失う痛みを得る喜びの2倍に感じます。人はネガティブな情報に反応し、恐怖が現実になりそうだと実感すると、今ある利益を失いたくないために、「解決する方法があるのなら!」と行動を起こします。

ポイントは 恐怖の強弱 さじ加減!

人は恐怖に対する耐性が弱く、長期間記憶することが苦痛です。強いフィアアピールは、人の心に一瞬で恐怖を植え付けます。しかし時間の経過とともに購買意欲が薄れます。

反対に弱いフィアアピールは心の中で緩やかに持続します。時間が経過しても記憶に残りやすいので長く購買意欲が維持できます。

マーケティングの要諦は、商品を買っていただくことで消費者の欲求とニーズを満たし利益を得ることです。

利益の源は、商品を買って下さるお客様です。フィアアピールのように、お客様がコミュニケーションを取る時の心理や行動を見ながら施策を考えることがビジネスの成功につながります。

COLUMN 筆1本で天下取り⁉︎

関ヶ原の戦いを前に東軍の徳川家康は、西軍の石田三成から自分に寝返りそうな82名の武将に155通の書状を送ります。

武将たちは家康直々の書状に畏怖を抱くとともに、提示された勝利後の破格の条件に心が揺れます。家康の調略は功を奏し寝返る武将が続出します。家康は恐怖と利益をテコにして天下を掴みます。

戦国の世、家康自身が恐怖の存在です。「我に味方せい」と武力で強要することは簡単です。しかし家康は手紙でやんわりと「拙者を助けて下さらぬか」と己れの胸中を綴った手紙を何通も送る方が、絶大な『フィアアピール』があることを熟知していたのです。

参考文献

ハンス・ロスリング他『FACT FACTFULNESS』(日経BP社)

藤田政博『バイアスとは何か 』(筑摩書房)

隆慶一郎『影武者徳川家康』(新潮社)