3分でわかる『フィアアピール』
フィアアピールを正しく使うには
恐怖から逃れようとする本能
フィアアピールとは、恐怖や不安をお客様に誘発し、その後に解決策を提供して商品やサービスを購買に導く手法です。
人には、生まれながらにして恐怖から逃れようとする本能があります。だから人は”AIに仕事を奪われる”、”このままでは老後破綻!“といった表現に敏感に反応します。
フィアアピールは、古くから恐怖や不安を利用して顧客に商品やサービスを購買させる効果的な販売手法として活用されてきました。
しかし、現在では消費者保護のため、過大な不安をあおる告知(消費者契約法第4条第3項第3号)に厳しい目が注がれています。フィアアピールの活用にあたっては、細心の注意が必要です。
フィアアピールの正しい使い方
フィアアピールの目的は、お客様に問題を解決する方法を提供することです。お客様にとって価値のある解決策を強調し、恐怖を払拭する手助けを行いましょう。
フィアアピールを用いる時は、その強さとバランスの検討が必要です。過剰な恐怖を煽ることなく、程よい刺激を用いることが大切です。
長期的な記憶を形成し、購買意欲を持続させるためには、緩い恐怖が効果的です。その理由は、人が恐怖に対する抵抗力が弱く、長期的な記憶することが難しいからです。
そして何よりも倫理的な観点から消費者契約法や広告規制に関する法令を遵守し、適切な表現を用いることが第一です。
戦国の世、関ヶ原の合戦前夜、徳川家康は、82名の武将に寝返りの兆しがあるとの情報を得ました。。彼は、155通の書状を送り、巧みに恐怖と利益を組み合わせた誘いを行います。武将たちにとって誘惑は魅力的で、多くは家康に従う道を選び、彼は天下を手中に収めました。
家康は力による強制ではなく、手紙によって、巧みに”私を助けてくれませんか”と、やんわりと心情を綴ることで得られるフィアアピールの絶大な効果を熟知していました。
ハンス・ロスリング他『FACT FACTFULNESS』(日経BP社)
藤田政博『バイアスとは何か 』(筑摩書房)
隆慶一郎『影武者徳川家康』(新潮社)