欲求を バネに生きてる私たち
〜マズローの欲求5段階説〜

人の欲求を収益に繋げる戦略の土台

人の欲求は変化する

マズローの欲求5段階説とは、人間の欲求を5つの段階に分類する学説です。

『マズローの欲求5段階説 』とは?

人間の欲求は5つの段階に分類されるという学説

中小企業は、人材や資金など経営資源に制約があります。その限られた資源を効果的に活用するためにお客様の欲求を理解し、それにマッチした戦略を展開し、持続的に収益を得ることが理想です。

アブラハム・ハロルド・マズロー(1908-1970)が唱えた欲求5段階説を理解するために、日本の家電消費の変遷から欲求の変化を紐解きます。

日本人の欲求と家電消費の変遷

1.『生理的欲求』:食料や睡眠時間を確保したい

1945年、敗戦で焦土と化した日本。人々は「お腹いっぱい食べたい」「屋根のある所で眠りたい」という”生理的欲求“を抱きます。電力供給は逼迫し、家電どころか1日を暮すのに精一杯の時代です。


2.『安全欲求』:生活の安全や安心を得たい

戦後復興を遂げ経済成長の入口に立つと、人々は快適な空間で安心して暮らしたいという“安全欲求”を満たすために、洗濯機・冷蔵庫・白黒テレビの「三種の神器」と呼ばれた家電に憧れました。


3.『社会的欲求』:社会と関わり貢献したい

消費が成熟期に入ると、人々は省エネなど社会問題に関心を持ちます。環境に配慮することを通じて社会貢献を果たすために「エコ家電」を選び“社会的欲求”を満たしました。


4.『承認欲求』:他者からの評判を得たい

ダイソンやパルミューダなどのデザイン性に優れていて周りに自慢できるようなおしゃれな「デザイン家電」を所有することで”承認欲求“を満たします。


5.『自己実現欲求』:あるべき自分になりたい

2000年代、女性の社会進出が加速し、「仕事でも輝きたい」という女性の”自己実現欲求“を叶えるために食洗機やロボット掃除機などの「時短家電」がヒットします。

収益向上の答えは、人の欲求の中にある!

欲求5段階説は、自己実現理論とも呼ばれます。マズローは、人は最終的に自己実現の欲求に向かって進化すると唱えました。

マズローの予言どおり、人類は成熟社会を迎え物資に満たされ、ついに自己実現欲求の段階に登り詰めました。

事業の成功はお客様の自己実現欲求を満たす製品やサービスの創造にかかっています。人間の心の奥深くに潜むダークな部分、他人には言えない欲求やコンプレックスに深くアプローチする必要があります。

参考文献

鹿毛康司『「心」が分かるとモノが売れる 』(日経BP)

フィリップ・コトラー『コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則』(朝日新聞出版)