あなたが好意を感じるのは商品なのか?人なのか?『好意の法則』の正体

マケの門

CM女王と好意の関係

出演本数=好感度の高さ

女優やアイドルにとっては、テレビCMの出演本数は、そのまま好感度の高さであるといえましょう。 2020年のCM女王には女優の広瀬すず(1998-)と今田美桜(1997-)の2人が輝きました。

2人とも官庁、金融、製薬メーカーからカジュアルウエア、製菓、飲料メーカーまで幅広い業種の14社のCMに出演しています。

消費者が、広瀬すずや今田美桜に抱く好印象は、そのまま商品の印象に反映されます。だから彼女たちは多くのCMに起用されるのです。

人には、自分が好意を感じている人の意見を聞き入れやすい傾向があります。この行動心理が、アメリカの社会心理学者 ロバート・B・チャルディー二(1945-)が著書『影響力の武器』の中で説いた『好意の法則』です。

『好意の法則』

人は、自分が好意を感じている人の意見を聞き入れやすい。

店頭で「あっ、広瀬すずがCMしている商品だ」と手に取ったり「CMの中で今田美桜が着ている服を私も着てみたい」という気持ちになるのは『好意の法則』が働くからなのです。

好意はどのようにして生まれるのか?

好意は人の心の中で、どのようにして生まれるのでしょうか?広瀬すずは、若者からシニア層まで各層から高い支持を得ています。これまで広瀬すずの知名度はシニア層にはやや低かったのですが、2019年のNHK朝の連続テレビ小説『なつぞら』を通じて広く認知されました。

朝の連続テレビ小説はシニア層が愉しみにしている番組です。毎朝、決まった時間に『なつぞら』を観ることによってヒロインの“なつ”を演じる広瀬すずに徐々に好意が湧くのです。

人は、無意識であっても同じ人に繰り返し接することによって、好意度や印象が高くなります。この心理現象を『ザイオンス効果』といいます。

ザイオンス効果

繰り返し接すると好意度や印象が高まる心理現象

人は自分に似た人に惹かれる

自分と似た人に感じる好意

人は性格、容姿、価値観など自分と似た人に好意を持ちます。ロバート・チャルディーニが『影響力の武器』の中で説いた『類似性効果』です。

あなたも商談で相手の趣味が同じであるとか同じ沿線に住んでいるなど、自分との共通項が見つかった途端、話しが弾んだ経験があるのではないでしょうか?

類似性効果

人は無意識の内に、性格、容姿、価値観など自分と似た人に好意を抱く。自分に似た人と一緒だと心地よさを感じて好意的な人間関係が生まれる。

さて、リアルかネットかを問わず、広告には利用者の体験談が掲載されています。

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この体験談を読んだ人は、「あっ!この人、私とおんなじだ!」と、自分と同じ悩みを持つ人の声に、親近感を感じ、商品との距離感をグッと縮めます。自分と似た人が悩みを解決したなら「私にもできるかも」と購入に踏み切ります。人は、商品やサービスの機能よりも自分とよく似た人の体験に惹かれるのです。

『好意の法則』の影響力

「あの人から買いたい」という感情

世の中には、立地が悪くても、優しく愚痴を聞いてくれる酸いも甘いも噛み分けたママの人柄に惹かれて繁盛するスナックや女将のきめ細かい心遣いに感激してリピーターが殺到する旅館が存在します。

あなたにも、「ちょっと遠いけど自分の好きな店に行く」とか「ちょっとくらい値段が高くてもあの人から買うのよ」というお気に入りの店や店員さんがいるのではないでしょうか?

商品そのものは、どの店で買っても同じです。しかし何度か顔を合わせて会話をし、顔なじみになるにつれて、徐々に好意が生まれ「あの人から買いたい」という感情が湧いてきます。

店員さんも、あなたの嗜好傾向を把握するので、あなたの好みに合った商品をお奨めするようになります。

人に抱く好意は、ある“物”に興味を持ったり、“物”を買いたいと思うきっかけになります。「あの人に会いたいから」とか「あの人から買いたい」と人々に感じさせることは、固定ファンを生むために不可欠なマーケティングの要諦です。

人は「物」だけではなく「人」も見ている

人は“物”だけではなく“人”も見ています。

人が購入を決める動機は、時として、その商品に対する好感度よりも、CMで商品をお奨めする人やお店で商品を売っている人に対する好感度の方が強く働く場合があります。

人が「ここはいい会社だよ」とか「あそこはいいお店」と言う時に、真っ先に頭に思い浮かべるのは”人”です。好意を感じる“人”の奨める商品だから「良い商品」と感じたり、料理を「美味いっ!」と感じるのです。これが『好意の法則』の及ぼす影響力なのです。

参考資料
 

ロバート・B・チャルディー二『影響力の武器』(誠信書房)

リチャード・セイラー『実践 行動経済学』(早川書房)

リチャード・セイラー『行動経済学の逆襲』(早川書房)

ニホンモニター『2020 タレントCM起用社数ランキング』