3分でわかる『好意の法則』
「近くに安い店があるけれど」人への好意が心を動かす!
モノよりも 人への好意で 欲しくなる
商品を買うのも売るのも人です。商売を成功させるには、人の本質つまり誰もが持っている行動原理を理解することが必要です。
あなたには、商品をお奨めする人や売る人への好意が決め手となって商品を購入した経験があるはずです。この時のあなたの感情が好意の法則の基本原理です。
CMで「これいいですよ」と言われても、その気になる人も、反対に反感を持つ人もいます。しかし、自分が好意を抱くタレントのお薦めには弱いのが人の心です。
繰り返し接することで増す好意
「ちょっと遠いけどあのお店に行くの」「少し値段が高くてもあの人から買うのよ」と、あなたには贔屓にしている店や店員さんがいるはずです。商品そのものは、どの店で買っても同じです。しかし人は合理的な判断を下すわけではありません。その理由は、人の心に『好意』という感情が生まれるからです。

「あの人から買いたい」という感情は、お互いの顔を認識し、ことばを交わす交流を繰り返し、好意が高まることから生まれます。この心理がザイオンス効果です。
お客様が「ここはいい会社だよ」と言う時に、真っ先に頭に思い浮かべるのは『人』です。お客様の心に好意を醸成させることは、マーケティングの基本です。
O・ヘンリーの小説『ミス・マーサのパン屋』の主人公マーサは、古くて安いパンしか買わない常連客 ブルムバーガーに、好意の印として、中にたっぷりバターを塗り込んだパンをサービスします。ところがブルムバーガーは、バターのせいで仕事を台無しにします。建築家の彼はパンを製図を描く時、消しゴムの代わりにしていたのです。
好意が、必ずしも顧客のニーズと一致しないことがあります。商売に限らず好意を示すのは難しいものです。
ロバート・B・チャルディー二『影響力の武器』(誠信書房)
リチャード・セイラー『実践 行動経済学』(早川書房)