3分でわかる『1対5の法則』『5対25の法則』
「さあ新規」コストだけが計画よりも増えている
えっ 毎年10%のお客様が 減っている⁉︎
新規顧客獲得に注力するものの計画未達の状況が続き、営業に掛かるコストだけが増える会社が少なくありません。新規顧客の獲得コストは、既存顧客の維持コストの5倍かかります。この法則が『1対5の法則』です。
新規顧客に商品やサービスを販売するためには、既存顧客に販売する場合にかかるコストの5倍かかるという法則

顧客離反(脱)率を5%下げて改善すれば25%の収益増大が見込めます。この法則を『5対25の法則』といいます。

平均的な企業は毎年10%の顧客を失っている。
業界によって数値は異なるが、顧客離反率を5%下げれば利益は25%〜85%の収益拡大が見込める
フィリップ・コトラー
既存顧客を惹きつけ維持することはマーケティングの重要な施策です。フィリップ・コトラー(1932-)は『マーケティングマネジメント』の中で既存顧客の維持と育成の重要性を説いています。既存顧客の離反を防ぐには、商品から得られる体験価値を伝える情報の発信や特別な提案などが有効な施策です。
既存顧客へのアプローチが利益を生む
2022年3月期に、厳しい経営環境が続いたソニーグループの営業利益が1兆円の大台を超えました。
ソニーはコスト削減を強いられた冬の時代、既存顧客へのアプローチに注力します。メールマガジンを定期的に配信し、専用サイトや体験会などに誘導しました。既存顧客に商品をより快適に使うための情報を提供し続け、上位機種や付属品の購入に繋げました。こうした地道な取り組みが利益を生みます。
“ソニー復活”の裏には既存顧客を重視したマーケティング戦略がリピーターの維持に寄与しているはずです。
佐藤尚之『ファンベース』(筑摩書房)
石井淳蔵『ブランド 価値の創造』(岩波書店)
鈴木敏文『鈴木敏文のCX入門』(プレジデント社)
立石泰則『マーケティングのSONY 市場を創り出すDNA』(岩波書店)
フィリップ・コトラー、ケビン・ケラー「マーケティングマネジメント」(丸善出版部)