スイッチングコストとは?
スイッチングコストとは、いま使っているブランドから別のブランドへ乗り換えるときに、お客様が感じる負担のことです。
キャッチコピー風にいうとこうなります。
- スイッチングコスト=面倒くささの心の重力
お金だけでなく、手間や時間、「新しく覚えるのが面倒だ」という心理的な負担も含まれます。
お客様がいまのブランドに満足していれば、スイッチングコストと呼ばれるこれらの負担は意識されません。
これが正しいブランドのあり方です。
今のままでいう人間の本能
政治の世界で支持率が低くても、本番の選挙で現職が勝つことがあるのはなぜでしょう?
理由は、人の心に変化を避け「今のままでいい」と感じる本能が働くからです。
買い物でも同じ心が動きます。
しかし、その本能を利用して、お客様を“やめにくいしくみ”で縛るのは賢いやり方ではありません。
- 本能の壁=「変えるのが面倒」「慣れているほうが楽」
- 強引なスイッチングコスト=解約を難しくしたりポイントで縛る
一時的に数字を維持できても、お客様の心は離れていきます。
長く選ばれるためには、「このブランド以外は考えられない」と感じる心地よさを届けることが大切です。
離れたくないと思わせる価値
国民的ブランド ユニクロは、お客様に「選ぶ理由」をはっきり示します。
だからスイッチングコストが発生しません。
- ヒートテックをつくれるのは、ユニクロだけです。
このメッセージは、代わりがない価値を、はっきりと伝えています。
派手な宣伝をしなくても、「これがないと困る」という感情が自然と「またユニクロで買おう」という動機になります。
とはいえヒートテックのような高価値製品をつくるのは簡単ではありません。
しかし「他へ移ると、この快適さを失う」という体験を積み重ねることはできます。
心地よい体験は、お客様との長い関係を育て、一人のお客様が生涯で生み出す利益(LTV)を押し上げていきます。

参考文献
フィリップ・コトラー、ケビン・ケラー『マーケティングマネジメント』(丸善出版部)

