内閣支持率が低くても、なぜ政権交代は起きないのか?
国民の不満が膨らみ、内閣支持率が低下しても、総選挙の結果は与党が辛うじて勝利。
この現象は「期待と結果のギャップ」に他なりません。
背景には、野党の政権運営能力への不安、政党間の政策の違いが見えにくいこと。そして何よりも人間が本質的に変化を避ける心理があります。
この心理の裏にあるのが、スイッチングコストです。政治に限らず、実は、顧客維持にも同じ構造があります。
不満があってもやめない心理
スイッチングコストとは、お客様が現在利用している商品から他社へ乗り換える時に生まれる3つの負担。
- 金銭的コスト:違約金や購入費など「余計なお金がかかる!」と感じる
- 物理的(手続き的)コスト:複雑な手続きなどに掛かる時間と手間を「面倒くさい」と感じる
- 心理的コスト:「失敗したらどうしよう」と慣れた環境を離れる不安
お客様は、3つのコストを負担に感じます。だから不満があっても離脱しないに過ぎません。
スイッチングコストでつなぎ止められている状態は、安定に見えても、とても脆い関係です。
もし競合が、キャッシュバックなど乗り換えコストを肩代わりする施策を打ったり、ネガティブな口コミが広がれば、顧客基盤は一気に崩壊する可能性があります。
お客様を縛るのではなく惹きつける
スイッチングコストに頼る関係から長期的なロイヤルティは生まれません。
なぜなら、サブスクリプションやポイント付与など「解約しにくい仕組み」は一時的な効果しかなく、差別化要因にはならないからです。
- サブスクリプションの飽和:魅力が薄れれば簡単に解約される
- ポイント制度の陳腐化:競合が同じ施策を導入すれば、還元率競争に陥るだけ
長期的な利益を築くには、お客様の心を惹きつける価値が不可欠です。
- 使い続けたい理由を届ける:機能ではなく「自分がどう満たされるか」という情緒的価値を伝える
- 体験価値・共感・信頼を築く:期待を上回る体験を届け、感情に訴えかける信頼関係を構築する
- ファン化と共有の促進:満足したお客様が自発的に口コミしたくなる体験を届ける
「縛る関係」でなく「惹きつける関係」こそがブランド力の源泉であり、市場の変化にも揺るがない長期的な利益への確かな道です。
参考文献
フィリップ・コトラー、ケビン・ケラー『マーケティングマネジメント』(丸善出版部)

