お客様 心がわかれば 維持できる〜スイッチングコスト〜

そもそもスイッチングコストとは?

スイッチングコストとは、お客様が、いま利用しているブランドから別のブランドへ乗り換える時に感じる金銭、時間、物理(労力や心理)的なコストです。

人は無意識のうちに新しいものに抵抗を感じます。政治の世界で、内閣支持率が低くても選挙で与党が勝つのは、「現状への不満」よりも「変化への不安」が勝るためです。ブランドも継続利用 = 満足とは限らない事実を直視する必要があります。

お客様にとっての価値とは?

マーケティングの権威 フィリップ・コトラーが説く顧客の受取価値とは、総顧客価値から総顧客コストを引いた価値です。

  • 総顧客価値=企業の製品、サービス、イメージの価値
  • 総顧客コスト=ブランドを使い始めてから使い終わるまでにかかる金銭、時間、物理コスト

お客様が、今使っているブランドAからブランドBに変えようと考える時、頭の中では、ブランドAを使い始めてから費やしてきたコストと、ブランドBへの乗り換えの手間暇を比べています。この乗り換えの手間暇スイッチングコストです。

  • 顧客が感じる実質的な価値 = 総顧客価値 - (総顧客コスト + スイッチングコスト)

お客様はブランドBが魅力的でも、乗り換えの痛みが大きければブランドAに留まります。スイッチングコストとは現在の選択肢を捨てることで心に生まれる痛みです。

よいブランドはポジティブなスイッチングコスト

よいブランドは、お客様を縛らなくても離反しません。

スターバックスは、お客様にコーヒーを売るだけではなく、価格は高くも、家庭でも職場でもない第の居場所“サードプレイス”という体験価値を届けています。

スイッチングコストを高めて縛り付けるのではなく、心地よい空間、接客、自分好みのカスタマイズといった総顧客価値の、特にイメージ価値とサービス価値を極限まで高め、お客様に他店への乗り換えを「損だ」と感じさせています。

お客様が愛着を感じ続ける仕組み、つまりポジティブなスイッチングコストが、お客様が離反しない価値をつくり長期的に利益を築きます。

参考文献

フィリップ・コトラー、ケビン・ケラー『マーケティングマネジメント』(丸善出版部)