あのトラウマ映画『マタンゴ』に学ぶ行動経済学
人はみな 目先の利益に 抗えない
プロスペクト理論は、人がリスク下で、どう意思決定を下すかを解明した行動経済学のマスターピースといえる理論です。
『マタンゴ』は東宝特撮映画のマスターピース。怪しい島に漂着した若者たちの唯一の食糧はキノコ。それも救援を待たずに食べれば自らキノコと化す禁断のキノコです。
飢餓と生存の危機が意志決定の基準(参照点)。利益はキノコを食べて飢えが満たされる束の間の喜び。損失は身体的変異です。
極限下では飢えを凌ぐ目先の利益を優先し変異という長期的損失に目をつぶるのが人の心です。
人は損失を利益の2倍〜2.5倍(平均2.25倍)重く感じるからです。

人はみな 得したつもりが 損をする
プロスペクト理論の中でハマりやすい心理が、既に支払ったコストを取り戻そうとして、かえって損失を増やすサンクコスト効果です。
人は、“5,000円以上お買い上げで送料送料!”に惹かれます。
合理的な選択は、欲しい商品だけを購入し、送料を支払うことです。しかし、特典に惹かれて、かえって購入金額を増やす不合理な行動を取るのが人の心です。
この心理を意識すれば冷静に合理的な選択ができるかもしれません。
『プロスペクト理論』
損失を避けたいと思うあまり、合理的ではない選択をしてしまう人間の意思決定を解明した行動経済学の理論
参考文献
- ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか? 』(早川書房)