そもそもN1分析とは?
N1分析は、経営コンサルタント西口一希氏が提唱した実在する一人のお客様からデータでは見えない背景や葛藤の裏にある「なぜ買うのか?」「欲しいのか?」を解くために心の奥にある言葉にならない理由を探る手法です。
たった一人(N=1)の声を読み解くことで、お客様の満たされていないニーズを発見。その発見から価値をつくりお客様が求めている商品を届け利益を築くことができます。
1人のお客様の先にいるお客様
企業が陥るペルソナの罠。仮面という語源のとおり、架空の顧客像では、お客様の正体が掴めません。N1分析は、実在する1人の人間の行動の裏にある感情・矛盾・背景まで把握できる点が強みです。
いまや希少な商店街の個人商店。八百屋や肉屋のおばちゃんは、まさにN1分析の先駆者です。

ペルソナ(架空の顧客像)
- 30代・共働き・時短志向のA子さん→ レトルト食品
N1分析(おばちゃんの店の常連 実在の母親)
- 仕事で疲れている
- 子どもには手料理を食べさせたい。触れ合いたい。
- レトルトへの罪悪感がある
おばちゃんは、働くお母さんが抱える、自分でもことばにできないもどかしい気持ちを察し、下ごしらえ済み野菜セットを考案します。
- 下ごしらえ済み野菜セット
→ 時短+子どもと一緒に調理する時間を創出
→ 「ちゃんとやれている」という安心感
一人の深い理解から見つかる「罪悪感なく手料理したい」という本音は、多くのワーキングママに共通する心の声(インサイト)です。
N1分析のツボは購買行動の裏にあり
デジタルは行動データを分析できますが「なぜ(Why)」までは完全には読み取れません。一方、肉屋のおばちゃんは、日常の文脈から「なぜ」をつかみます。
同じ購買データでも解釈が違う
- CRM:金曜日19時。30代男性が高級牛肉とプレミアムビール購入→週末のご褒美
- おばちゃん:朝の会話から「昇進祝い」と確信 → いつもよい肉:アップセル、もう一品いかが:クロスセル→購買単価増
| ステップ | おばちゃん | デジタル |
| 観察 | 表情・服装・歩き方 | ログイン頻度・滞在時間 |
| 対話 | 「最近どうだい」と直接会話 | アンケート・SNS分析 |
| 仮説検証 | 「昇進祝いなら良い肉を」 | アルゴリズムの推論 |
西口一希氏の説く未充足のニーズから導かれる独自性と便益から生まれる価値がN1分析の核心です。
参考文献
西口一希『ビジネスの結果が変わるN1分析』(日本実業出版社)
