確実で なければ心が 動かない!〜確実性効果〜

「本日の降水確率40%」に迷う理由

0と100に惹かれる人間心理

人は0と100という絶対的な数字を好み、不確実な物事を避ける心理があります。これが確実性効果です。

天気予報の降水確率。0%であれば、多くの人は傘を持たずに出かけるでしょう。100%なら、全員が傘を差して出かます。

問題は40%のような微妙な確率。「雨の中をずぶ濡れになって強行突破するか?」「念のため傘を持っていくか」「降られたら傘を買うか」とあれこれ思案し判断に迷うのです。

確実性効果は、物を買う時にも発揮されます。「カロリー0」や「天然果汁100%」。このようにはっきりと数値をアピールした製品はお客様に安心感を与え、買う気にさせます。

「これなら大丈夫!」の判断基準

確実性効果を裏返すとどうでしょう?

1873年まで続いた敵討ち制度。主君から敵討ちの命令を受けたら、確実に果たさない限り帰参は許されませんでした。仇を100%仕留められば栄誉の加増が得られ出世の道が開けます。

しかし仇討ちの成功確率は1%。返り討ちに遭ったり仇が見つからない可能性もあります。

大半の者は旅先で病死、敵討ちを断念して流浪の生活を送りました。確実性が極端に低い場合、武士の身分を捨てて0になっても生き延びる不確実ながら希望のある選択をしました。

確実性効果は、日々の些細な判断から人生の決断まで至るところで顔を覗かせます。

 

『確実性効果』とは?
確実な結果をもたらす選択肢を選ぶ人間心理

参考文献

ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか? 』(早川書房)