無意識の意識に 人は操られ
〜プライミング効果〜

プライミング効果

JR山手線 神田駅の発車メロディで思い出すブランドは?

人の行動を無意識に促す心理効果

JR神田駅の発車メロディ。「ああ、あれね」と誰もが思うこの曲、実はアース製薬のモンダミンのCMソングなんです。

そこには、無意識のうちにお客様の心にブランドをそっと刷り込む、巧みなブランディング戦略が隠されています。

人が商品を選ぶとき、機能や価格だけではない、そのブランドが持つ雰囲気が決め手になることってありますよね。

ここで鍵となるのは、プライミング効果です。

プライミング効果とは、先に受けた情報が、その後の行動や判断に無意識に影響を与える心理現象です。

通勤・通学中にあのメロディを繰り返し耳にすることで、「爽快感」「清潔感」「心地よい日常」といったモンダミンのイメージが、知らないうちに私たちの脳に深く刻まれていくんです。

なぜ駅メロが購入の入り口になるのか

プライミング効果は、ブランドと行動を無意識に結びつけ、購入を促す露払いの役割を担います。

駅メロがブランディングに効果的なのには、大きく3つの理由があります。

  • 無意識に働きかける: 広告として認識されにくいので、反発を感じることなく、自然にブランドの価値が脳裏に作られます。
  • 感情的な結びつきを作る: 「今日も一日頑張ろう」というポジティブな気持ちと結びつくことで、ブランドへの好意的な感情が生まれます。
  • ブランドと購入を直結させる: 「心地よい日常」を象徴するイメージが、購買行動へ自然につながりやすくなります。

2027年に発売40年を迎えるロングセラーブランドは、「日本人が毎日使いたくなるような洗口液」という存在意義を、音の力で見事に体現しているんですね。

参考文献

ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか? 』(早川書房)