人はなぜパッと判断が下せるのか?

マケの門

3分でわかる『ヒューリスティック

直感思考『ヒューリスティック』の力

人が物を購入する時には、大抵時間をかけて情報を収集し、比較検討し意思決定を行います。その一方で深く考えずに商品をパッと選んだり、時には衝動買いに走るなど不可解な行動を取ることがあります。

こうした消費者の不可解な行動心理を紐解きマーケティングに応用するのが、いま話題の行動経済学です。行動経済学の祖といわれるダニエル・カーネマン(1932-)とエイモス・トベルスキー(1999-1996)の2人が、いちばん最初に発表した研究成果が、自分の直感や過去の経験などの記憶を元に、瞬時にハズレが少ない答えを引き出す直感思考『ヒューリスティック』です。

脳は、状況に応じて熟考したり『ヒューリスティック』を働かせて直感で判断したりと自動的に使い分けているのです。

『ヒューリスティック』とは?
手間を掛けずに直感や記憶の中の経験則だけでハズレが少ない答えを導く本能

ヒューリスティックの落とし穴

ところが『ヒューリスティック』には「正しいかどうか?」を検証する過程を飛び越え直感だけで判断を下すので、よく考えてみれば「そんなわけないよな」という誤りに、気付けないという落とし穴があります。

正しい検証をせずに、世の中に浸透している“ステレオタイプ”を元に意思決定に利用してしまうことを『代表性ヒューリスティック』といいます。

代表性ヒューリスティック』とは?
ステレオタイプを元に意思決定に利用してしまうこと

人は無意識に、世の中に浸透しているステレオタイプを判断材料に用います。「彼は銀行員だから真面目で堅そうだ」といった性別や地域、職業、血液型などに抱く固定観念や思い込みが時として判断を誤らせます。

九州男児だから、さぞ豪快と思いきや
 あなたは、九州出身の男性に対して“豪快な人”とか“お酒が強い人”という九州男児をイメージに抱いてしまうのではないでしょうか?実際には、九州男児といっても繊細な人もいるし、お酒が飲めない下戸もいます。酒席で、「さぞかし酒豪だろう」と思いきや、実は一滴も飲めずウーロン茶を注文するとギャップを感じるのも、そのせいです。

パッと瞬間的に思い出せる自分の記憶や印象に残る事例をもとに意思決定を下すプロセスが『利用可能性ヒューリスティック』です。

利用可能性ヒューリスティック』とは?
正確な情報を入手せずに、記憶を頼りに、パッと思い出せる自分の知識や考えの及ぶ範囲の中で判断を下してしまうこと。

諜報機関と国際テロ組織の共謀に違いない
 ”彼女は最近スパイ映画を立て続けに観たらしい。あれも陰謀、これも謀略とうるさいんだ”

ダニエル・カーネマンの著書『ファスト&スロー』の中に綴られた一例です。確かに世界史を紐解くと数々の陰謀説や隠蔽された事実が少なからず存在します。スパイが暗躍するスパイ映画を観て衝撃を感じた直後に、ニュースでテロの情報に接すると、現実の事件と架空のストーリーの2つがオーバーラップし「あのテロ事件も諜報機関と国際テロ組織の共謀に違いない」と錯覚するのです。

人には、冷静に考えれば何の根拠もないことを無闇に信じ込んだり、関連の無いことを結び付けて、あたかもそれが原因であるかのような因果関係を作り出してしまう思考の癖があるのです。

醤油といえば『○○』
赤坂でとんかつを食べるなら『○○』

あなたはパッと頭の中に商品名やお店の名前が浮かぶのではないでしょうか?あなたがよく耳にする商品名、CMに出演しているスターに惹かれて深く考えずに商品を手に取るのは『ヒューリスティック』の作用です。『ヒューリスティック』を味方に付けて、消費者に◯◯を真っ先に思い浮かべて貰うことが、マーケティングの目的の一つです。