3分でわかる『ヒューリスティクス』
直感で素早く意思決定! しかしその答えは・・・!?
直感で判断するとミスを呼ぶ
ヒューリスティクスとは、直感で素早く意思決定を下すための効率的な思考プロセスです。
直感で素早く意思決定をするための効率的な思考プロセス
一説によると、人は1日に3万5,000回もの判断を下すそうです。そこで、脳にかかる負荷を軽減するため無意識の内にヒューリスティクスが働きます。
ところがヒューリスティクスには、正確性を犠牲にしてでも素早く結論を出す習性があるため、時には誤った判断を下します。誤った判断をもたらす元凶が脳内のバイアス、つまり思い込みです。
人はステレオタイプで判断する
人は、世の中のステレオタイプで判断を下します。これが代表性ヒューリスティックです。
直感で、世の中のステレオタイプを元に『レッテル貼り』をして決めつけてしまう思考

人は思い出しやすいことで判断する
人は、すぐに思いつく手近な事例で判断します。これが利用可能性ヒューリスティックです。
直感で、自分の頭の中にあるパッと思い出せる記憶や印象に残っている事例だけで判断する思考

お客様の心を 洞察して 生む利益
アメリカの心理学者 ダニエル・カーネマン(1932-)とエイモス・トヴェルスキー(1936-1996)は、人には2つの思考モードがあることを解明しました。ヒューリスティクスによるファスト(直感)モードと、論理的に思考するスロー(熟慮)モードです。
人は、ファストモードでは、ワークマンを『職人御用達の店』というステレオタイプで決め付けてしまいます。
しかし、ワークマンには一般のお客様が多く来店します。スローモードでは、作業服から防寒・防水などの機能を想起し、ワークマンを『機能性の高い服を低価格で販売している店』と認識するからです。
顧客の心を理解しているワークマンは、女性ブランド「#ワークマン女子」やアウトドア衣料の「WORKMAN Plus」を展開し増収増益を続けています。
特撮映画の名作がリメイクされるたびに、ネットには「駄作!」「どうせCGなんでしょ」などと辛辣な意見がアップされます。
人の心には『アナログ=手作りで温かい』、『デジタル=無機質で冷たい』という思い込みがあります。だからアナログの時代に作られたオリジナルに思い入れのあるファンは、作品を観もせずに「先人への冒瀆だ」と決めつけてしまうのです。
ダニエル・カーネマン『NOISE』(早川書房)
ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか? 』(早川書房)
リチャード・セイラー キャス・サンティーン『実践行動経済学 完全版』(日経BP社)
土屋哲雄『ワークマン式 しない経営』(ダイヤモンド社)