高級パンブームはなぜ終わったのか?
人はみな 最初に見たものに 縛られる
高級食パンブームの熱狂は、なぜ冷めたのでしょうか?
その秘密は、アンカリング効果にあります。
アンカリング効果とは、人が最初に接した情報(=アンカー)に強く影響を受け、その後の判断が偏ってしまう心理現象です。

- 価格のアンカー:12,000円の商品が「特別価格10,000円」と表示されていれば「2,000円もお得だ」と感じる
- 印象のアンカー:歌舞伎の襲名披露で、つい先代と比較して「先代のほうがよかった」と思ってしまう
映画『影武者』の主役交代事件。主演が仲代達矢に交代した時、当初の主演予定だった勝新太郎の強烈な印象がファンの先入観として残り、作品の評価に影響を与えました。
最初の印象は、人の判断に大きな影響を与えているのです。


脳裏から消えないのがアンカー
高級パンブームでは「普段160円(当時)で買える食パンが、なぜ1,000円もするのか?」という驚きが、人々の心に強く刺さりました。
高級素材、数量限定、手作りといった付加価値が、価格の高さを正当化し、新たなアンカーとして受け入れられたのです。


しかし、時間が経つにつれて心の中にある「パンは毎日食べるもの」「そんなに高い必要ある?」という元々の価値観(=旧アンカー)が徐々に復活してきました。
一度は上書きされたかに見えたアンカーも、根っこにある当たり前には抗えませんでした。
それが高級パンブームの終焉につながったのです。

アンカーは人の脳裏から簡単には消えません。いったん定着したアンカーを覆すには、時間と強い説得力が必要です。
だからこそ、商品を届ける上で最初の印象(どんなイメージを最初に与えるか)が重要なのです。
参考文献
- ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか? 』(早川書房)