気が付けば 買ったつもりが 買わされた!

マケの門

3分でわかる『一貫性の法則』

お財布の 紐を緩めた その心理

まっすぐに 心を動かす 2つの理由

毎日の生活は”決断“の連続です。アメリカの脳科学者バーバラ・J・サハキアン(1952-)の研究によれば人は1日に35,000回もの”決断“をしているそうです。これでは脳も疲れてしまいますね。

毎日、同じ顔ぶれの通勤電車
 毎日の朝の通勤。あなたは、いつも同じ時刻、同じ車両。乗るドアの位置も決めているのではないでしょうか?「あの人の前に立ったら座れるな」と学習したり、たまに顔を合わさないと何だか心配になります。学生時代、気になる異性に出会い「いつも同じ車両だし、向こうもひょっとして私を意識したりして」と妄想を抱いた体験が思い出されます。

そもそも人は「楽をしたい」という本能を生まれながらに持っています。だからあなたの心には、“こんな時にはこうしよう”と自分の行動を効率よくパターン化する『一貫性の法則』が働くのです。あなたが毎朝出会う通勤電車の“いつもの顔ぶれ”も、あなたと同じように『一貫性の法則』を貫いているのです。

そしてもう一つ、あなたが一度「やるぞ!」と宣言したことを、やり遂げようとするのも『一貫性の法則』の働きです。世の中では常に行動と言動が一貫している人物が「デキる人」と評価されます。だからあなたの心に無意識のうちに他人に良く思われようとする欲求が働き『一貫性の法則』を貫くのです。

『一貫性の法則』とは?

人が持っている普段から続けている習慣や自分が言ったことを、そのまま貫きたいという強い意思

人が『一貫性の法則』を貫く2つの理由

1.楽をして効率よく行動したい

2.他人から高い評価を受けたい

あなたは“楽をして効率よく行動したい”という自分の意思で一貫した行動を取ったはずです。それが、いつしか“他人から高い評価を受けたい”と他人の目を意識して『一貫性の法則』で行動しているところが、人の心の不思議なところですね。

想定外! 出費の理由は “一貫性”!?

さて、あなたには買い物をした後で「どうしてあの時、店員さんに言われるままに買ってしまったんだろう」と考えてしまった経験はないでしょうか?

「本日天然鰻入荷」に惹かれる心理
 「たまの贅沢で今日は鰻重。でも“上”の鰻重でいいかな」と、そんな気持ちで鰻屋に入ったあなたは「本日の“特上”は貴重な天然物ですよ」と店員さんに奨められるままに“特上”の鰻重を注文します。

あなたが“特上”を注文した理由は、店員さんの、より高価で美味しい天然物の鰻を奨める販売手法『アップセル』があなたの心を刺激したからです。

「プラス100円で」に惹かれる心理
 毎日行くコーヒーショップ。今日は、顔馴染みの店員さんがレジにいます。「今ならプラス100円でバレンシアシロップが追加できますよ」と奨められるままにあなたはバレンシアシロップを追加します。

あなたが“バレンシアシロップ”を追加した理由は、店員さんが、関連商品を奨め顧客単価を上げる販売手法『クロスセル』があなたの心を動かしたからです。

『アップセル』と『クロスセル』とは?

『アップセル』とは商品の購入を考えている見込み客に対し、より優れた高額な商品を奨める販売手法

『クロスセル』とは商品の購入を決定した客に対し、関連商品など別の商品を奨める販売手法

一度、買うことを決めたあなたには『一貫性の法則』が働いています。だから店員さんに奨められるままに「ワンランク上のもの」を購入したり「ついで買い」をしたりと、最初に決めた「買う」という行動を一貫して取り続け財布の紐を緩めたのです。心の奥底には“気前の良い客”と思われたいという気持ちも見え隠れします。

『アップセル』と『クロスセル』は『一貫性の原理』を利用して、人の心を無意識のうちに動かして顧客単価を引き上げる効果を狙った定番手法です。あなたは、自分の意思で買ったのでしょうか?それとも買わされたのでしょうか?

参考文献
 

ロバート・チャルディーニ『影響力の武器』(誠信書房)

ミシェル・バデリー『エッセンシャル版行動経済学』(早川書房)

リチャード・セイラー『実践 行動経済学』(日経BP社)