ひとまいる(カクヤス)はどうやってラストワンマイルを制したのか?
戦略は3つのCの掛け合わせ
将棋の格言に「敵の急所は我が急所」という言葉があります。
これは、競合にとっての急所は、自社にとっても決して見過ごせない課題である、という教訓です。
ひとまいる(カクヤス)は急所を見抜き、競合に先駆けてラストワンマイル、つまりお客様の玄関先まで商品を届ける仕組みを作ったのです。
成功の裏には、大前研一の3C分析という戦略を考える型(フレームワーク)が隠されています。
3C分析の目的は、お客様の欲求を満たす競合には真似できない独自の価値を作り長期的な利益を築くことにあります。

- Customer お客様:お客様は誰で何を求めているか?
- Competitor 競合:競合の強み・弱み・戦略は?
- Company 自社:自社の資源と強みで何ができるか?
3つのCを掛け合わせることで、お客様にとっての真の価値、すなわち成功要因が見えてきます。
急所を抑えたひとまいるの戦略
では、3C分析を使ってひとまいるの戦略を見ていきましょう。
- Customer(顧客):飲食店・一般家庭に共通する「必要な時に必要な量を、すぐ欲しい」という欲求
- Competitor(競合):問屋=飲食店、小売=家庭に市場が分断。即時配送の仕組みが不十分
- Company(自社):自社の強力な配送網と、御用聞きのように細やかに対応できる強み



ひとまいるは、競合の急所を的確に突き、自社の配送インフラを武器に、他社が簡単に真似できない参入障壁の高いビジネスモデルを確立したのです。
この戦略こそが、中長期的な利益を生み出し、お客様からの深い信頼という、何物にも代えがたい資産を築く土台となったといえるでしょう。

参考文献
大前研一『ストラテジック・マインド』(プレジデント社)