旅番組の「お宿自慢」に学ぶ、一点突破で価値を魅せるブランディングの技
ハロー効果とは何か?
旅番組の「お宿自慢」コーナー。なぜか心が惹きつけられて、つい見入ってしまいますよね。
この不思議な感覚、実はハロー効果という心理現象が巧みに使われているんです。
ハロー効果とは、たった一つの際立った特徴に引っ張られて、その対象全体を良くも悪くも評価してしまう心の働きです。
旅番組では、まさにこの効果を狙っています。
- 息をのむような絶景の露天風呂
- 名物板長が腕を振るった絶品料理
- 心温まる女将さんの、とびきりのおもてなし
これらの「たった一つの魅力」が、宿全体の印象をぐっと引き上げます。
たとえ施設が少し古かったり、駅からのアクセスが不便だったりしても、視聴者は「きっとこの旅館は素晴らしいに違いない」と、好意的に評価してしまうんですね。

ハロー効果はブランディングのはじめの一歩
昔から「売り物には花を飾れ」と言われるように、魅力的な外見は、お客様の心をつかむ上で欠かせません。
- 思わず手に取りたくなる美しいパッケージ
- 第一印象で惹きつけられる、洗練された接客をするスタッフ
ハロー効果から生まれる「買ってみようかな」「行ってみようかな」と感じる理屈ではない感情こそが、ブランディングのはじめの一歩です。
ただ、ここで忘れてはいけない大切なことが一つあります。
ハロー効果で高まった期待を裏切ると、お客様はあっという間に失望し、ブランドへの信頼が失われます
だからこそ、外見の魅力だけでなく、商品が持っている強みや具体的なメリットを、シンプルで分かりやすい言葉で伝えることが大切です。
これこそが、長期的な信頼と利益を築くための、揺るがない鍵となります。
参考文献
ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか? 』(早川書房)