人はみな 結果だけに 目を向ける!

少数の法則

3分でわかる『少数の法則』

ノーベル賞学者も嵌まる統計の落とし穴

データは サンプルサイズが ものを言う

人の脳には、統計に基づいた根拠を無視してしまうという思考の癖があります。これを『少数の法則』といいます。

『少数の法則』とは?
 小さいサンプルサイズ(統計を出すための標本データの個数)から弾き出された結果でも、無意識のうちにその結果が正しいと感じてしまう心理

人は、たとえ小さいサンプルサイズから弾き出された結果であっても、結果自体に目を奪われて「正しい!」と感じてしまうのです。

さて健康が気になるあなたは、ダイエットに興味がおありでしょう。

90%の人が減量に成功したダイエット!

ところが冷静に考えれば「いったい何人がダイエットに取り組んで成功したのか?」がわかりません。仮にサンプルサイズが10人だとしたら9人が成功したとしても信憑性に欠けます。サンプルサイズが小さ過ぎるからです。

しかし人は「90%の人が成功したのだから、このダイエット方法なら安心だろう」と、結果だけで判断してしまいます。これが、人の脳に生じる思考の癖の一つである『少数の法則』です。

シンプルな 法則だけど  間違える

『少数の法則』の定義は、この2点。至ってシンプルな法則です。

1.サンプルサイズが大きければ、小さい場合より正確である

2.サンプルサイズが小さいと、大きい場合より極端な例が発生しやすくなる

しかしノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン(1935-)でさえも認識を誤るのです。『少数の法則』の提唱者であるカーネマン自身が著書『ファスト&スロー』で、思うような結果が得られない原因が小さ過ぎるサンプルサイズであることに気付き「自分がこんな失敗をするとは痛恨の極みである」と告白しています。

日本人はランキングを好みます。しかも多くの人々はサンプルサイズを気にせずに結果だけを信用します。

未婚男性が多い都道府県 第一位は○○県

もしサンプルサイズが小さければ、データには当然、偏りが生まれます。ところが、人は「○○県は、未婚男性が多い」という情報のみに注目し県民性や職業、容姿などを結び付け、さまざまな解釈をしたがります。

このように未婚率との関係性が薄い複数の要因が、あたかも未婚率と関係があると思い込んでしまう心理を『錯誤相関』といいます。

『錯誤相関』とは?
 要因Aと要因Bの間には相関が無いのに、あたかも両者に因果関係があるように思い込んでしまう心理

事実、こうした正確さを欠く興味本位の情報がメディアを問わず多く見受けられます。

「お客様の声」や「ランキング」はマーケティングの定番手法です。サンプルサイズを理解し、情報を発信する側も受け取る側も『少数の法則』を意識することが必要です。

参考文献
 ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか? 』(早川書房)

ダレル・ハフ『統計でウソをつく法―数式を使わない統計学入門 』(講談社)

松本健太郎『人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学』(毎日新聞出版)