人はみな 結果だけに 目を向ける!

少数の法則

3分でわかる『少数の法則』

90%の人が減量に成功!」の真相は? データは サンプルサイズが ものを言う

ノーベル賞学者も ハマる統計の罠

『少数の法則』とは、人が統計に基づいた根拠を無視して無意識のうちに、その結果が正しいと判断する心理です。

『少数の法則』とは?
小さいサンプルサイズ(統計を出すための標本データの個数)から弾き出された結果でも、無意識のうちにその結果が正しいと感じてしまう心理

『少数の法則』のルール

  1. サンプルサイズが大きければ、小さい場合より正確である
  2. サンプルサイズが小さいと、極端な例が発生しやすくなる

『少数の法則』は、たった2点とシンプルなルールです。しかしシンプルなルールほど本質を見逃しがちです。

統計学を教える身であり、計算方法も知っている自分がこんな失敗をしでかすとは痛恨の極みである

ダニエル・カーネマン

『少数の法則』の提唱者であるノーベル経済学賞授賞者 ダニエル・カーネマン(1934-)自身が、著書『ファスト&スロー』の中で、こう自戒しています。

データは サンプルサイズに 目を向ける

90%の人が減量に成功!」という一行だけで「90%の人が成功したのだから、私でもうまくいくはず」と判断してしまうのが人の心です。


ところが、よく考えると10,000人中9,000人も10人中9人も同じ90%です。もしサンプルサイズが10人だったらデータの信憑性に疑問が生じます。過去、不適切なデータを公開し、お客様の信頼を失った企業が少なくありません。

サンプルサイズを正しく理解し、情報を発信する側も受け取る側も『少数の法則』を意識することが大切です。

コラム  未婚男性が多い県 第一位の誤解

サンプルサイズが小さければ、当然データは偏ります。にもかかわらず人は「○○県は、未婚男性が多い」という結果のみに注目します。

一昔前には、不正確なデータと県民性や職業、容姿などを結び付けて、これらの要因が、あたかも未婚率と因果関係があるかのように、視聴者に思い込ませるTVの情報バラエティ番組が見受けられました。

参考文献

ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか? 』(早川書房)

ダレル・ハフ『統計でウソをつく法―数式を使わない統計学入門 』(講談社)

松本健太郎『人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学』(毎日新聞出版)