“松竹梅” やっぱり“竹”が ちょうどいい!

3分でわかる『ゴルディロックス効果』

「なんでだろう?」安くても“梅”が売れぬ理由とは?

人はみな 「ちょうどいい」に 着地する!

『ゴルディロックス効果』とは、人が3つの選択肢がある時に、真ん中のランクを選ぶ行動心理です。

『ゴルディロックス効果』とは?
  人が3つの選択肢がある時に、真ん中のランクを選ぶ行動心理

鰻屋のお品書きに、価格順に「超特上 」2,400円、「特上」1,800円、「上」1,200円の3種類があったら、あなたは、そこそこ豪華で価格が手頃な真ん中の「特上」を選ぶのではないでしょうか?

3種類の価格差は600円です。1,800円の「特上」は、1,200円の「上」と比べると上質で美味しそうだし、2,400円の「超特上」よりお手頃な値段に感じます。

あなたの心には「間違いのないものを選びたい」という心理が働き、両極端を避けて真ん中のランクの「特上」に落ち着きます。

もし1,800円の鰻重だけだったら、あなたは高いと感じるでしょう。3種類の価格帯の鰻重があることで、真ん中の「特上」の1,800円の鰻重に、魅力を感じるのです。

真ん中の「特上」に決めた時の、あなたの心の中が『ゴルディロックス効果』の基本原理です。

安ければ 「訳ありでは?」と 湧く不安

マーケティングの重要な要件の一つが「値付け」です。お客様の心の中にある“理想の価格帯”を探るためには『ゴルディロックス効果』を理解することが不可欠です。

あなたがふだん買い物をする時に感じる価格に対するリスクは、当然あなたの会社のお客様の心の中にも生じます。

価格を高く設定しすぎると、商品は売れません。あなたが「これ以上高かったら買えないな」と感じる価格を『上限価格』といいます。

価格を安く設定しすぎても、商品は売れません。あなたが「安いのは何かウラがあるんじゃないの?」と安さに不安を感じる価格を『下限価格』といいます。

あなたもお客様も『上限価格』と『下限価格』の真ん中に、価格と品質の釣り合いをちょうど良く感じます。つまり『松竹梅』の『竹』にあたる金額が『最適価格』です。

人が「松竹梅」を選ぶ割合は『2:5:3』といわれています。横並び意識を重んじて無難なものを選ぶ日本人の国民性を踏まえると『ゴルディロックス効果』に働きかける価格戦略は、有効な施策です。

コラム  ガス人間の実験報酬
  『ガス人間第一号』は、東宝特撮映画の名作です。主人公の水野は、ある日「報酬は月に2万円でどうですか?」という博士の誘いに乗り、生体実験に協力し身体をガス化できる特殊能力を得ます。水野がリスクの高い実験の被験者になった理由は、高くもなく安くもないちょうどいい報酬に安心感を抱いたからです。

映画が公開された1960年当時の大卒初任給の平均は13,000円です。報酬が高ければ身の危険を感じるし、安ければとてもお話しになりません。土屋嘉男が演じた水野が、手頃な報酬に安心感を抱いたように、貨幣価値は変わっても、価格に対する価値観は昔も今も変わりません。

参考文献
 ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか? 』(早川書房)

阿部誠『サクッとわかるビジネス教養 行動経済学』(新星出版社)