人はつい「見た目」で選び判断する!
〜ハロー効果〜

「ここ いいね」旅番組の“お宿自慢”の演出テクニック

人間の判断は見た目が9割だ!

ハロー効果とは、人が物事を評価する時、一つの目立った特徴に引きずられて、すべてが素晴らしい、あるいは悪いと決めつける心理です。

黒澤明(1910-1998)の傑作『椿三十郎』の冒頭10分は、ハロー効果を見事に描写しています。

若侍たちは、見た目が地味で冴えない城代家老を悪者だと決めつけ、反対に、いかにも威厳がありそうな大目付を信用してしまいます。

浪人 三十郎は、彼らの浅はかな判断を一喝。「人は見かけによらねぇよ。冴えねぇツラの城代家老が本物で、大目付が黒幕だ」と言い放ちます。

若侍たちは、ハロー効果によって真実を見抜く目を曇らされていたのです。

温泉女将は旅館のXXを隠したい

テレビの旅番組の人気コーナー『お宿自慢』。「人情女将のおもてなし」や「窓から見える絶景」といった魅力的な一点が強調されることで、たとえ施設が古くても、交通の便が悪くても、その宿全体の印象がぐっと良くなります。

これが、一点の魅力で全体を底上げするハロー効果の働きです。

昔から「売り物には花を飾れ」と言われるように、見た目の魅力は、お客様の心を掴む要素です。

しかし、大切なのは、見た目だけで終わらせないことです。

お客様は、自分の悩みを解決してくれるのかを知りたいと思っています。

外見の魅力だけでなく商品が持つ本当の強み具体的なメリットを、シンプルで分かりやすい言葉で伝えることが、長期的に利益を築く鍵となります。

『ハロー効果』
 見た目や際立つ特徴だけで人物や物の価値を決めつけてしまう心理

参考文献

ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか? 』(早川書房)