得したい! だけど誰もが 損をする

3分でわかる『プロスペクト理論』

“人は損失を回避しようとする” だから消費は感情で動いている

人はみな 得より損を 重く見る!

『プロスペクト理論』とは、1979年にアメリカの心理学者 ダニエル・カーネマン(1934-)とエイモス・トベルスキー(1936-1996)が、経済学と心理学の視点から人には損失を避けようとする習性があることを立証した理論です。

プロスペクト理論とは?

人は損失を避けようとする習性があることを立証した理論

人の心は利益を得た時の喜びよりも、損失を被った時の痛みを2.25倍重く感じる

人は得より損を2.25倍重く感じる

人は理屈ではなく心で動きます。マーケティングを成功させるためには、人の心を理解することが必要です。

人は安定を求めます。だからあなたは確実に得をする時は「もっと得をしよう」と深追いせずに切り上げるはずです。しかし損失を背負っている時は、これ以上の損失を避けるためにリスクを取ろうとするでしょう。リスクに直面した時の、あなたの心が『プロスペクト理論』の基本原理です。

「得しなきゃ 損!」と考え 損をする!

人が特に強い損失を感じるのが、つぎ込んだ時間やお金など絶対に回収することができない『サンクコスト』です。

サンクコスト』を取り戻そうとして、かえって損失を背負い込んでしまう不合理な行動心理を『サンクコスト効果』といいます。

サンクコスト効果とは?

失った損失を取り戻そうとして、合理的判断ができなくなる

費やした時間や既に支払った費用など、回収不能のコストに対し強い損失感を感じ、合理的な判断ができなくなってしまう心理効果

ネットショッピングの送料は取り戻すことができない『サンクコスト』です。だから人は『3点以上お買い上げで送料無料』という特典に惹かれます。

欲しい商品だけを購入して、正規の送料を払う方が得です。しかし人の心には、欲しい商品が2点でも「特典を使って得しなきゃ損っ!」という心理が働きます。その結果、もう1点余計な商品を購入して払う金額を自分自身で釣り上げる不合理な行動を取ります。この時の心理状態が『サンクコスト効果』の基本原理です。

人が「絶対に損をしたくない! 」と損失を取り戻そうとする行動心理は、マーケティング施策を練る上でしっかり抑えておきたいポイントです。

コラム ジョブズのことば

アップルの創業者 スティーヴ・ジョブズは、生前こう語っています。

「安全にやろうと思うのは一番危険な落とし穴なんだ」

ジョブズは「価値のあるものを得るためには、相応のリスクが必要。安全ばかり考えていると何も得られない危険があるのだ」と言います。

人はジョブズのようには生きられません。結局「何かを得るために、何かを失う危険性のあるリスク」を冒すよりも「何も失わないけれど、その代わりに何も得ることもない」という安全策を選んでしまうのです。

参考文献
  • ダニエル・カーネマン『NOISE 』(早川書房)
  • ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか? 』(早川書房)
  • 大竹文雄『行動経済学の使い方』(岩波書店)
  • 筒井義郎『行動経済学入門』(東洋経済新報社)