恩恵を お返しすれば うまくいく!

マケの門

3分でわかる『返報性の原理』

受けた恩 「返さなくては」 という心

『恩返し』すれば心が 軽くなる!

人は恩恵を受けると、お礼として何かお返しをしなければ何だか申し訳ない気持ちになります。この心理を『返報性の原理』といいます。

『返報性の原理』とは?
 人が、恩恵を受けた時に「お返しをしなくては申し訳ない」という気持ちになる心理

恩を受けたままの心の重苦しさを、アメリカの社会心理学者 ロバート・B・チャルディー二(1945-)は、著書『影響力の武器』の中で、こう吐露しています。

恩義を受けたままの状態というのはとても不快なものです。ずしりと肩に食い込むこの重荷を早く下ろしてしまいたいという気になります。

人から何かしてもらって嬉しいという感情が、「私のためにこんなに時間や労力を割いてくれて申し訳ない」と心理的な負い目へと変換され「何かお返ししなければ」という感情が生まれるのです。

人間心理の表も裏も知り尽くした権威のチャルディー二を以ってしてもコントロールできない行動心理が『返報性の原理』なのです。

昔から『恩』を大事に生きてきた!

『返報性の原理』の元である「恩恵」には歴史があります。人類は、食糧が乏しかった太古の時代、自分が飢えに苦しんだ時に仲間に助けられたから、今度は仲間が飢えた時に助けようと、みんなで生きるために「恩恵」を大切にしてきたのです。

『返報性の原理』は「受けた恩は返さなくては」という、いつの時代でも誰もが持つ心理を、購買に結び付け販促に用いられています。

あなたにもデパートの食品売り場の「食品の試食販売」で『返報性の原理』に巧みに誘導され商品を購入した経験があるはずです。

義理人情を重んじる日本人の気質を踏まえると『返報性の原理』に働きかける販売戦略は、有効なマーケティング施策といえましょう。

経済学の父 アダム・スミスが説く『恩恵』

経済学の父 アダム・スミスは『道徳感情論』の中で「恩を受けた人は恩を返済できるまで良心が疼き、その心理的負い目を払拭するために次は自分がお返しをする。この行為の繰り返しで、思いやりが溢れるよりよい社会が築けるのだ」と受けた恩に報いて返すことの大切さを説いています。

『道徳感情論』(1759年)で、“恩恵の大切さ”を説いたアダム・スミスは1776年に著した『国富論』では一転し、人の“利己心を動機に行動し経済を動かす存在”を「神の見えざる手」と称します。若き日に“恩恵の大切さ”を説いたのは“市場原理主義の元祖”として経済史に名を残したスミスの意外な一面ですね。

参考文献
 

アダム・スミス『道徳感情論』(講談社)

ロバート・B・チャルディー二『影響力の武器』(誠信書房) 

ルディー和子『ソクラテスはネットの「無料」に抗議する(日本経済新聞出版)