セブン銀行は、なぜライバルのファミマにATMを置くのか?
セブン銀行はファミリーマートに約1万6000台のATMを導入します。 その背景には、コーペティション経営という考え方があります。
コーペティション経営とは、ライバル企業同士がある分野では協力し、別の分野では競争する戦略的な経営手法です。
協調×競争が価値を生む
企業間の協調は業界全体の利益拡大につながります。一方で競争は市場シェアを奪い合う関係を生みます。
- 協調:互いの強みを活かし、新たな価値を創出
- 競争:利益やシェアを巡り、優位性を争う
協調と競争は相反する概念ではなく、共存可能な戦略要素です。
ここに、複雑でダイナミックな経営の本質があります。
「敵か味方か」の時代はもう終わり?
現代の国家や企業の関係性は「敵か味方か」という単純な二分法では語れません。
ひとつの関係性の中に、協調と競争が同時に存在しているからです。その象徴が日米関係です。
| 分野 | 関係性 | 現実 |
| 協力 (安全保障) | 日米同盟 | 互いの軍事的・地政学的な強みを補完し合い、単独では得られない抑止力を形成。 |
| 競争 (経済) | 市場シェア争い | 自動車、半導体、レアメタルなどの分野で、市場シェアや技術覇権を巡って競争。 |
同様に、セブン銀行とファミリーマートの関係も「協調と競争の共存」です。
| 関係性 | 内容 |
| 協調(金融サービス) | ATM設置により業界全体の利便性を強化 |
| 競争(コンビニ事業) | 店舗事業では覇権を巡り激しく競争 |
コーペティション経営の成功の鍵は「どこで協調し、どこで競争するか」を見極めること。
補完し合いながら成長する関係を築くことが、競争優位と利益の源泉となります。
参考文献
B・ネイルバフ A・ブランデンバーガー『ゲーム理論で勝つ経営 競争と協調のコーペティション戦略』(日本経済新聞出版 )
