虎の門で からだのしくみを お勉強

日本の医術が医学へと近代化するきっかけを作り、西洋の科学技術や文化を学ぶ学問の発展に大きな光をもたらした人物が杉田玄白です。

2020年6月、日本の科学の発展に貢献した杉田玄白が眠る『栄閑院』のすぐそばに、“都会の真ん中で科学にふれる”をテーマにした『みなと科学館』がオープンしました。

『栄閑院』
 杉田玄白は虎ノ門3丁目の「栄閑院」に眠ります。

ちなみに「栄閑院」は“猿寺”と呼ばれています。寺に猿回しの格好をして寺に忍び込んだ泥棒が、住職に改心させられ猿を置いて諸国行脚に旅立ちます。泥棒の置いていった猿は人に慣れて、寺の人気者になったことに由来します。

『みなと科学館』
『みなと科学館』では “しぜん・まち・うみ・わたし”という4つのジャンルを軸に、子どもから大人まで科学の愉しみを満喫できる体験型の展示やプラネタリウムがあります。

併設されている気象科学館では気象現象や防災・減災についてを学ぶことができます。

杉田玄白の功績

小浜藩の藩医 杉田玄白は、小塚原の刑場で処刑された囚人の解剖に立ち会います。その際に、オランダの人体解剖書『ターヘル・アナトミア』に描かれている解剖図の正確さに驚嘆します。当時39歳の玄白は、前野良沢(1783-1803)、中川淳庵(1739-1786)とともに『ターヘル・アナトミア』の翻訳を開始します。辞書もなくオランダ語に詳しいのは前野良沢ただ一人。翻訳作業は困難を極め1774年に苦労が実り日本語に訳された『解体新書』が完成しました。

当時の医師は、身体の構造の知識がなく患者の様子を外から診て判断し、薬を処方して治療していました。『解体新書』の出版で、医術は医学へと大きく前進します。

玄白もびっくりの“からだスキャナー”

さて、あなたは膵臓や脾臓の位置や役割をご存知でしょうか?『解体新書』の出版から約250年が経過し医学は発達しましたが、私たちは自分の身体のしくみについてはよくわかっていないものです。

『みなと科学館』の中でも人気のある展示が、人間の身体にまつわる科学を探求できる“わたし”のコーナーです。「からだスキャナー」で、身体をスキャンして筋肉や骨のしくみを学んだり、「臓器パズル」や「反射神経テスト」で身体の構造を知ったり体力を測定することができます。ちなみに“神経”ということばは『解体新書』編纂時に、玄白が用いたことばです。

玄白は晩年も日本橋浜町から丸の内や深川まで歩いて往診に出かけ、当時としては長命を保ち82歳の時に、オランダ医書『ターヘル・アナトミア』の翻訳の苦心を回顧した『和蘭事始』を著します。自分の身体を理解して杉田玄白のように生涯、健康を保ちたいものです。

参考文献
 

杉田玄白『新装版 解体新書』(講談社)」

山田風太郎『人間臨終図鑑』(徳間書店)

港区産業・地域振興支援部『港区歴史観光ガイドブック』(港区)