虎の門で からだのしくみを お勉強

杉田玄白が眠る栄閑院

日本の医術が医学へと近代化するきっかけを作り、西洋の科学技術や文化を学ぶ学問の発展に大きな光をもたらした人物が杉田玄白です。

杉田玄白は虎ノ門3丁目の「栄閑院」に眠ります。

玄白は西洋の科学技術や文化を学ぶ学問の発展に貢献しました。オランダ医書『ターヘル・アナトミア』を苦心しながら翻訳し、『解体新書』を完成させ医学は大きく前進します。

当時へ、医師が身体の内部を理解せず、患者の外見や症状から判断して治療していた時代でした。『解体新書』によって身体の解剖学的知識が広まることで、より正確な診断や効果的な治療が可能になりました。

玄白もびっくりの“からだスキャナー”

さて、あなたは膵臓や脾臓の位置や役割をご存知でしょうか?

約250年前に『解体新書』が出版されて以来、医学は大きく進歩してきましたが、私たちは自分の身体の仕組みについてまだ十分に理解しているとはいえません。

2020年6月には栄閑院のすぐそばに、「都会の真ん中で科学に触れる」ことをテーマにしたみなと科学館がオープンしました。この科学館では、「しぜん・まち・うみ・わたし」という4つのジャンルをベースに、子供から大人までが科学の楽しみを体験できる展示やプラネタリウムが用意されています。併設されている気象科学館では、気象現象や防災・減災について学ぶことができます。

特に人気のある展示の一つが、「わたし」のコーナーです。

ここでは人間の身体に関する科学を探求することができます。例えば、「からだスキャナー」を使って身体をスキャンし、筋肉や骨の構造を学んだり、「臓器パズル」や「反射神経テスト」で身体の仕組みを知ったり、体力を測定することができます。ちなみに、「神経」という言葉は『解体新書』の編纂時に玄白が用いたものです。

玄白は、晩年にも日本橋浜町から丸の内や深川まで歩いて往診に出かけ、当時としては長命を保ち82歳の時に、オランダ医書『ターヘル・アナトミア』の翻訳に苦心しながらも『和蘭事始』を著しました。彼のように自分の身体を理解し、生涯にわたって健康を保ちたいですね。

アクセス
  

【栄閑院 猿寺】港区虎ノ門3-10-10

【みなと科学館】東京都港区虎ノ門3-6-9

〈開館時間〉 午前9時~午後8時 〈閉館日〉毎月第2月曜日、年末年始(12月29日~1月3日)、その他臨時休館日

◯最寄り駅はすべて 東京メトロ日比谷線「虎ノ門ヒルズ駅」

参考文献
 

杉田玄白『新装版 解体新書』(講談社)」

山田風太郎『人間臨終図鑑』(徳間書店)

港区産業・地域振興支援部『港区歴史観光ガイドブック』(港区)