競争戦略の視野を広げる第6の力
マイケル・ポーターのファイブフォース分析は、利益を出しやすい業界かどうかを5つの力で査定します。
| 5つの力 | 影響 |
| ① 業界内の競合 | 同業者との競争の激しさ |
| ② 新規参入の脅威 | 新しい企業の市場参入 |
| ③ 代替品の脅威 | 代替製品による顧客流出 |
| ④ 売り手の交渉力 | 原材料業者の声 |
| ⑤ 買い手の交渉力 | 顧客や流通業者の声 |
5つの力が強いほど、業界の収益性は低下。
企業は5つの力を避ける・交わす・利用する戦略で競争優位を築きます。
近年ではここに第6の力を加える考え方が注目されています。
第6の力「補完者」の影響力
第6の力とは、業界で自社製品の価値を高めてくれる補完者の存在です。
- ゲーム機 × ゲームソフト
- スマートフォン × アプリ
その存在が強ければ強いほど、市場全体の価値も拡大します。
| 観点 | ファイブフォース分析 | シックスフォース分析 |
| 基本構造 | 5つの脅威 | 5つの脅威+補完者 |
| 主な目的 | 競争を回避して利益を確保 | 協調・共創で市場を拡大し高利益 |
| 視点 | 競争 | 競争+協調(Co-opetition) |
補完者を味方につけることで、競争の「脅威」を「機会」へと転換できます。
「プレステはなぜゲーム市場を制したのか?
1990年代の「次世代ゲーム機戦争」は、補完者の力が勝敗を分けた好例です。
ゲーム機本体の性能が高くても、魅力的なソフトがなければお客様は購入しません。
| ハード | 性能 | ソフト=補完者 | 結果 |
| Sony PlayStation | 高性能・低価格 | 豊富なソフト(ナムコ、スクウェアなど) | 大成功! |
| Nintendo N64 | 高性能 | カートリッジ採用で開発コスト高、供給減 | 苦戦 |
| SEGA Saturn | 複雑な構造 | 開発難易度が高くソフト不足 | 失敗 |
Sonyは多くのソフトメーカーを巻き込み、巨大ゲーム市場=共創市場を築いたことで勝利しました。
競争戦略は敵を倒すだけでなく、味方をどれだけ増やせるかが勝負を分ける時代に入ったのです。
